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悪魔も喘ぐ夜
*


「カイルか。

 俺は駆と帰るし、迎えは向こうに」

「え?迎えって何の話…?」


 学校を出てそのまま駅前に向かうんじゃ

ないのか…そう思って尋ねたがはぐらかさ

れた。


「Yes, Your Highness.

 そのように手配致します」


 クラスメートや友達、というよりは臣下

や従者のような立ち振る舞いでクロードに

頭を下げた。


 こんな奴、いたっけ…?

 少なくともクロードの傍にいつもいたの

なら、隣の席の俺が見ていないはずはない

のに。


 頭の中が混乱し始めた時、クロードの手

が肩に回された。


「ほな、行こか」

「あ、待って。

 誰、だっけ…?」


 そのまま昇降口へと向かいそうなクロー

ドを見て挨拶位は、と黒髪の青年を振り返

るがまるで声が聞こえていないようにピク

リとも動かない。


「カイルや。まぁ気にせんといて」

「カイル、また明日な!」


 そのまま歩き出そうとする手に押されな

がら声をかけたが、最後まで置物のように

ピクリとも動かなかった。


 おかしいな…。

 俺の声が届かない距離じゃないはずなの

に…。

 何か嫌われるようなことしたっけ…?


 考えるが思い当たらない。

 というより…カイルがどういう性格だっ

たのかが…。


 あれ…?


 考えれば考えるだけモヤモヤしてくる。

 変な一日だ、とため息がもれた。





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