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悪魔も喘ぐ夜
*


 こちらが落ち着いている間に母さんのほ

うも落ち着いたようで、その母さんに麗が

歩み寄った。


「ぼくね、ずっとお兄ちゃんが好きなの。

 ずっとずっと…これからもずっとお兄ち

 ゃんだけが好き。

 中毒とか、そんなんで一緒に居たいって

 言ってるんじゃなくて…。

 好きだから、大事にしたいから、一緒に

 居たい。

 フェロメニアと淫魔としてじゃなくて、

 お兄ちゃんとぼくとして、一緒にいられ

 る方法がないか探したいんだ。

 お母さん、それじゃダメなの…?」

「麗…」


 兄貴とのやりとりのおかげか、母さんか

らはすっかりトゲが抜け落ちていた。

 それでなくても末っ子である麗のおねだ

りには弱い。


 …あと、もう一押し。


「母さん…俺もまだ諦めたくない。

 可能性があるなら、探してみたい。

 ダメ、かな…?」

「駆……」

 母さんは俺を見つめて、しばらく沈黙し

た。

 やがてスッと目を閉じて再び開く。


「…わかったわ。

 ただ快楽に流されたんじゃなく、ちゃん

 と気持ちが繋がっているのなら…半魔と

 して違う道を歩けるかもしれないもの

 ね…」


 母さんはそう言って笑った。





[*前]

あきゅろす。
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