悪魔も喘ぐ夜
*
コンコン、ガチャ…
「秀ー?おはよう、起きて……」
部屋を開けて、ベッドの上を見て…母さ
んが固まった。
ようやくちゃんと目が覚めたらしい兄貴
が起き上がる。
“さすがに3人でベッドは狭かった…”
なんて寝起きの頭の中でぼやいたかどうか
は知らない。
「あっ、あなた達何してるの…っ?!」
母さんの喉から悲鳴のような声が漏れ
た。
その声に麗が俺の腕の中で目覚めて、目
を擦りながら体を起こす。
「それに何っ?!
こんな甘ったるい香り…誰か他にいるの
っ?!」
裸で眠る俺達を見て何があったのか…想
像するのは容易だった…らしい。
しかし状況を理解してもパニックを起こ
した母さんはヒステリックに叫んで部屋に
踏み込んできた。
“甘い女性ものの香水か何かを部屋中に
振り撒いたような匂いだった”と後から聞
いた。
…そう、俺だけが。
この丸二日間無理をし続けた俺だけが、
その騒動でも起きることができなかった。
全てを知らされたのは、太陽が最も高い
位置を超えてから。
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