悪魔も喘ぐ夜 * 何も知らない足音が階段を上ってくる。 窓から差し込む朝陽を浴びて、上機嫌に 鼻歌を歌いながら。 コンコン、ガチャ 「ただいまーっ。 日程切り上げて帰っ…あら?」 俺の部屋のドアを開いて、そこが無人な のに気づいて母さんが首を傾げる。 「麗の部屋かしら…。 最近一緒に寝ていたみたいだし」 機嫌がいいのか小さな笑い声を出して、 今度は麗の部屋の前に立つ。 コンコン、ガチャ 「おはよう。 起きてる?……いない?」 麗の部屋も無人。 “変ねぇ。一階にはいなかったのに…” 顎に手をあてて小首を傾げる母さん。 ここで物音に気づいた兄貴が、うっすら 意識を取り戻した。 その足音が兄貴の部屋の前にきた。 そして… [次#] |