悪魔も喘ぐ夜 * そもそもこの闇のスパイラルに終わりは あるのか。 兄貴が大学に進学して家を出て、俺も高 校を卒業して進学なり就職なりをして…。 でもたとえ兄貴が家を出たとしても麗は まだ中学、高校生と、この家で暮らす。 進学にしても就職にしても、兄貴の大学 がある以上はいきなり一人暮らしなんてこ とは俺もできないだろうし。 麗が言っていたようにいずれはバラバラ になるだろう。 でも、こんな生活を続けて、何食わぬ顔 で何も知らなかった頃の生活の延長ができ るのか? いや、そもそもこんな関係…同じ家で暮 らしていていつまで両親に隠しておける? さまざまな考えが取り留めもなく押し寄 せて、問題の大きさと深刻さを俺に突き付 けた。 何かないかな…。 全部の問題を解決してくれる魔法の呪文 とか…。 「はぁ…」 今は考えるだけ無駄か、と諦めてシーツ を持って兄貴の部屋を出る。 [*前][次#] |