悪魔も喘ぐ夜
*
気分がスッキリしたところでベッドをチ
ェックして、本当は替えたばかりだろうシ
ーツを剥ぎ取った。
…気持ちの問題、気持ちの。
腰をかばいながらなんとかシーツを新し
いものに替えて一息つく。
腰に必要以上の衝撃を与えないようにゆ
っくりとベッドに腰掛けて、部屋を見回す。
基本的に必要なものしか置かない兄貴の
部屋は物が少なく、汚れているところなん
か見たことない。
主人の几帳面な、あるいは潔癖な性格を
反映してか、静かな主のいない部屋に1人
でいることはどこか違和感を感じさせた。
兄貴の本当の望みは何なんだろう…。
麗の願いはどこで曲がってしまったんだ
ろう…。
俺の平凡な…家族みんな仲良くっていう
願いは高望みなのか…?
二人を突き放して、それで歪んだものが
正せるなら…するかもしれない。
でもそれは何処にも確証がなくて、失敗
したときのリロードはできなくて、家族で
仲良くっていう俺の願いからすらも反れて
しまう。
出口を求めれば求めるだけ思考はスパイ
ラルに陥る。
二人の願いを受け入れてこの身を差し出
して…それで一時の仮初は手に入れられて
も、その先は?
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