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悪魔も喘ぐ夜
*


「駆、言わなければわからないでしょう?

 どうしてほしいのかその口でちゃんと言

 いなさい」


 けれど兄貴は俺の精一杯では許してはく

れなかった。

 あくまでも明確な意思表示がないと出口

はないと突き付けてくる。

 ただでさえ限界が近いのに、先端を爪の

先で軽く引っかかれてあやうくイキそうに

なりかけて腰がビクビクと震える。


「ひぁッ…!

 もう、イカ…せて…。イキたい…」


 兄貴の腕を掴む手に自然と力がこもる。

 言った途端に耳まで熱くなる。

 しかしそれでも体内の今にも吹き出しそ

うな欲望には抗いきれなかった。

 恥ずかしくて、情けなくて、目尻に涙が

滲む。


「よく言えましたね。

 ご褒美です。イッていいですよ、駆」


 兄貴の意地悪いそれが満足げなものに変

わった。

 よかった。ようやく解放される。


「あッ!イクッ!イッっちゃ…あぁッ!」

 
 もともと限界まで高められていた欲望は

長くはもたなかった。

 その手の中で何度か扱かれるとあっけな

く精を解き放っていく。

 飛び散るのを防ぐためだろうか、添えら

れた兄貴の掌に断続的に白濁を放つと荒い

呼吸を繰り返したままで腰を深く椅子に沈

みこませた。





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