悪魔も喘ぐ夜
*
「でも、イケないのは辛いでしょう?
それとも、ここから先は自分でしてるの
を見せてくれるんですか?」
自慰を見られながらするなんて嫌だ。
兄貴に全身舐めまわすように観察されな
がらなんて、イケるわけない。
ブンブンと首を横に振る。
でも体は正直で、下半身に溜まっていく
熱量を誤魔化しきれずに腰を揺すってしま
う。
前に進めず、かといって後ろにも引けず
に意地悪く笑う兄貴の手に翻弄されて濡れ
た音を立てながら天を突くモノは限界を訴
えている。
「じゃあどうしてほしいんですか、駆?
ちゃんと言ってくれないと分かりません
よ」
イキたい…。
もう放って楽になってしまいたい。
気持ちよくなってしまいたい。
「あに…き…」
肩で息をしながら肩越しに兄貴を見上げ
る。
“イカせて”
たったそれだけ言えればどんなに楽かと
思うのに、自分は涼しい顔で笑みさえ浮か
べている兄貴相手にはどうしても出てこな
い。
恥ずかしすぎる。
結局言葉にできない分だけ精一杯の気持
ちを込めて腕を掴んだ。
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