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悪魔も喘ぐ夜
*


「やるんなら、内容はこうだ。

 俺が勝ったら兄貴は二度と麗に冷たくす

 るな。言うのもするのもダメ。

 勝負はもっと健全な方法で」

「100%健全じゃないですか」

「どこが!?」

「性欲は本能です。

 それを抑え込むのは体に悪い。

 賭けをしながら気持ちよくなれるなら一

 石二鳥じゃないですか」

「………」


 どうあってもそこは譲らないようだ。

 譲らないなら、この性格の曲りまくった

兄貴をうんと言わせるまで譲歩するしかな

い。

 賭けをしないと言ったら、そもそも兄貴

に提示している条件は話し合いで解決させ

る気はないと言うだろう。 


「じゃあキスだけ」

「それは全身OKですよね?

 舌を使うのももちろん」

「ダメ!

 そういうのじゃなくて!」


 それじゃまるきり愛撫じゃないか。


「じゃあどういうのがいいんですか?」

「だから、キスだけ」

「キスだけでイッてみたい、と?

 淫乱ですねぇ、駆は」

「………!」


 兄貴の目が意地悪くクスクス笑うのを無

言で睨みつけた。





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