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悪魔も喘ぐ夜
*


「…何で勝負するんだ」


 それでも一応聞いてみる。

 聞いてみてから決めてもいいはずだ。


「駆は何もしなくていいですよ」


 兄貴はよりかかっていた机から体を起こ

して俺にゆっくりと近づいてきた。


「は?」


 一瞬聞き間違いかと思った。

 何もしなくていいなんてどんな勝負だ。

 ぽかんと見上げていると顎を引かれた。


「駆は何もしなくていいと言ったんです

 よ。

 そうですね…30分。

 30分イかなかったら駆の勝ちでいい

 ですよ」

「いっ、嫌だっ!」


 顎を引き寄せたままの兄貴を突き飛ばす

ような感じで後ずさる。


 本能が警告を発していた。

 この声を聞いてはいけないと。





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