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悪魔も喘ぐ夜
*


「じゃあ…兄貴が勝ったら…?」

「そうですね…。

 駆には一生僕の奴隷になってもらいまし

 ょうか」


 サラリと…本当にサラリと一瞬耳を疑う

ようなことを兄貴は平然と言い切った。


「嫌だっ!

 なんだよ、その割に合わない賭けは!」

「“弟思いのお兄ちゃん”なら、その位容

 易いと思ったんですけどねぇ…」


 チラリとこちらを見る様が憎らしい。

 でもそんな手に乗ってやるもんか。


「賭けるものがフェアじゃない!

 だったら兄貴だって一生俺の奴隷になる

 くらいしろよっ!」

「いいですよ」


 プライドの高い兄貴にそんなもの賭けら

れるものか…。

 そう思っていたのに甘かった。

 兄貴はいともあっさり頷いた。
 
 言葉の意味を理解していないんじゃない

かって位に。


「わ…わかってんのか?

 奴隷だぞ、奴隷…」


 思わず聞き返してしまった。

 兄貴はむしろそんな俺が理解できないと

でも言いたそうな顔だ。

「わかっていますよ。

 それで駆の一生が手に入るなら安いもの

 です」


 その目の中に獣が過る。


 …胡散臭い。臭すぎる!


 俺の中の本能が警告を鳴らす。





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あきゅろす。
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