悪魔も喘ぐ夜 * 兄貴はふと何かをひらめいたように意地 の悪い笑みに変わった。 「そうですね…。 じゃあ弟思いの駆にチャンスをあげます よ。 これから賭けをしましょうか」 「賭け…?」 「そうです。 駆が勝ったら、僕はもう麗に冷たいこと は言いません。麗を悲しませることもし ません」 …胡散臭い。 兄貴の余裕のある笑みが余計にそれを駆 り立てる。 「本当に?」 「はい」 「本当の本当に?」 「くどいですよ、駆。 二言はありません」 兄貴はきっぱり言い切った。 その淀みなさが…余計に胡散臭い。 [*前][次#] |