好きって気持ち。
〈4〉
兄さんと何時ものように朝食をとっている間も、僕の心の中はずっとモヤモヤしたまんまだった…
兄さんは僕にキスされたこと、何とも思ってないんだ。
それは僕が恋愛の対象外だってこと…
だから…例えその行為が恋人としてのものだったとしても…
兄さんにとっては…
「ロロ、どうした?全然食べてないじゃないか…どこか具合でも悪いのか?」
「えっ…あっ…何でもないよ!大丈夫、ちょっと考え事してただけ。今日テストなんだ、あっでも昨日兄さんに教えてもらったからきっとできるよ!」
「そうか、少しでもお前の役に立ててよかった。」
「少しどころか、僕は兄さんに支えられっぱなし。あっこのスクランブルエッグ凄く美味しい!」
ホントに僕は兄さん無しじゃ何にもできない…
兄さんがいなくなったら、生きていくことだって…
「今日のは少し甘めにしてみた、糖分は頭を活性化させるんだ。」
「ねぇ、兄さん。僕も兄さんのために何かしたい…困った時は言ってね!僕に出来ることならなんでもするよ!」
兄さんに必要としてもらえる人間になりたい…
「ありがとう。でも俺はお前が笑ってくれるだけでいっぱい癒されてるから、十分なんだよ?」
「そんなのだめだよ!」
「ダメか…じゃあ悩み事がある時はロロに相談しようかな。聞いてくれるか?」
「もちろん!何時でも相談に乗るよ!」
「よし、じゃあそろそろ出ようか。」
「あ、兄さん!」
立ち上がり然り気無く自分のと僕の食器を片付ける兄を慌てて呼び止める。
「今日もお昼休み兄さんの所に行ってもいい?」
「あぁ、おいで。一緒に食べよう。」
なんで僕は兄さんと同じクラスじゃないんだろう…
学年が違うから当たり前だけど…
僕は机に突っ伏しながら、どうにもならないことに嘆いた。
もし同じクラスだったら、一日中兄さんと一緒にいられるのに…
兄さんがいない場所なんて、いらないんだ…
早く昼休みにならないかな…
こういう時、時計の針はなかなか先に進んではくれない。
****
「ルルーシュ、ロロ来てるぞ。」
「あぁ、ありがとうリヴァル。」
「アイツ毎日来るな、クラスに友達いないんじゃないのか?」
訝しげな顔をして、何時も抱いていた疑問を率直に投げかける。
「そんなことはないよ。」
「だってさ〜」
聞こえてるよ…
別に友達がいない訳じゃない。でも兄さんといるより楽しいなんてことは絶対に有り得ないから…
僕にとって兄さんが1番なんだ…
「ロロお待たせ、お腹空いたろ?」
「うん、もうペコペコ!」
「ふふっ食堂に行こうか。あっそうだ、今日はリヴァルとシャーリーも一緒なんだけどよかったか?」
「あっ…うん!大丈夫だよ!」
兄さんと二人きりで食べられると思ったのに…
小さな不安は胸の中にしまっておく。
「大丈夫って…若干嫌がってない?」
「そんなことないよな?ロロ。大勢で食べた方が美味しいよ。さぁ行こう、席が無くなる。」
「ごめんねロロ、ちょっとお邪魔するね!」
僕だって愛想笑いぐらいできる。兄さんの友達だから仲良くしないと…
兄さんの大切な人は僕にとっても大切な人ってことなんだよね。僕以外に大事な人がいるのは淋しいけど…
仕方ないんだ…
何とか自分を納得させ、4人連れ立って食堂に向かった。
****
食堂は既にいっぱいですごく込み合っていた。
運良く見つけた四人席で昼食をとる。
僕は兄さんの隣、
兄さんの向かいにシャーリーさん、僕の向かいにはリヴァルさんが座った。
「ルル、次の授業の宿題やってある?」
「あぁやってるよ、なんで?」
「次私当たってるの、でも答えに自信なくって…もし良かったら教えてもらえないかなぁって…」
「いいよ。」
「ホント!ありがとう!あの先生苦手なんだぁ…」
「すっげぇ厳しいもんな、俺も次辺りあたりそうな気がする〜。そん時はルルーシュ先生どうかひとつ!」
「リヴァルは自分でやってからこい。」
「どうせ見るんだから一緒だろ〜。」
「ダメよリヴァル!一度はやらないと力つかないんだから!」
「ちぇっ!」
僕のわからない話だ…
僕の知らない兄さんの世界…
兄さんは僕1人のものじゃない。そんなこと分かってるはずなのに…
胸が締め付けられて…
苦しくて…
味なんて全くわからなかった。
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