Beautiful actress ☆
(8)
ジノおすすめのレストランへ行き、向かいの席に座る。
でてくる料理がまずかった訳でも、ジノが嫌いな訳でもなかったが食事をしている間中、ルルーシュはずっと上の空だった。
スザクと食事をするのとは、全く違う。
「なぁルルーシュはなんか趣味とかある?因みに俺は演技すんのがすっごく好きだからそれが趣味みたいなもんなんだ。」
一方的に話し続けるジノの問いかけにも答えずに、一点を見つめるルルーシュ。
「ルルーシュ?」
名前を呼ばれて我にかえり、慌てて返事をした。
「あっ…ごめん…なんだった?」
「趣味の話!」
「えっと、俺は仕事が趣味みたいなものだから…」
「そっか!じゃあ俺と同じだな!やっぱり気が合うなぁ♪」
ルルーシュの素っ気ない態度にもめげず、ジノはひたすら話し続ける。
正直、身も心も疲れきっていたルルーシュは、ジノの話の内容を全くと言っていいほど聞いていなかった。
その後もルルーシュは相槌を打つ程度で、ジノの独り言のような会話が続いた。
食事を終え、ジノの車で自宅まで送ってもらう。
電車で帰るからと何度も断ったがきいてもらえず、結局こうなってしまったのだ。
押しに弱いルルーシュは、ジノの好意を無下には出来なかった。というのは建前で、もしかしたら家にスザクが来ているかもしれないというわずかな期待。
そのほんの少しの可能性を信じ、一緒にいるところを見られたくないと言うのが本音だ。
車の扉を開けてもらい、ルルーシュのマンションの前でお別れをする。
「今日はとても楽しかった!また誘うから、今度はルルーシュの話が聞きたい。」
「せっかく誘ってくれたのに、あまり話せなくてごめん。俺…暗いんだ…」
自分の性格がつくづく嫌になる。
もともと対人関係がうまくできなくて、今までもほとんど友達はいなかったが、自分に興味を持ってくれた人にもこんな態度しかとれないなんて。
「そんなことない!ルルーシュはそこにいるだけで輝いてるよ!」
それまで以上に暗くなるルルーシュを元気づけようとするジノ。
その言葉に嘘偽りはなく、彼の正直な気持ちだ。
ジノは何時だって自分の気持ちに正直だった。
「ありがとう…」
小さく微笑み頬を染める。
こんな風に俺のことを綺麗だって言ってくれた人は、二人目だ。
スザクと初めて会った日のことを思い出すな…
あの時のことは今でもはっきり覚えている。
「今日は誘ってくれてありがとう。じゃあまた…」
「うん!また!」
軽く手を振り、ルルーシュは自分の住んでいるマンションに入っていった。
まぁ今日は初めての食事だし、こんなもんかな?
人見知りするってスザクも言ってたし、少しずつね。
でも見れば見るほど美人だったなぁ…
性格も控えめで可愛いし…
あぁ〜本気で好きになりそうだ///
疲れきったルルーシュとは裏腹に、ジノは上機嫌でルルーシュのマンションを後にした。
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