Beautiful actress ☆
(7)
「ねことトマトはセットではない!!」
撮影が始まり、スタジオに緊張感が漂う。
次々にカットが進み、最後に巨大ピザを準備し、ジノがナイトメアでトマトの入ったコンテナを運びだすシーンに入っていた。
しかし今まで順調だった撮影は、ここへきてミステイクが重なり、既にテイク5まできている。
「こんなの……俺のジャンルじゃ……」
はぁ… はぁ…
痛い……
もうこれ以上走れない…
これで終わってくれ…
その願いも虚しく、今度はスザクが走るルートを間違え、また取り直しになる。
「ごめんねルルーシュ。次は頑張るから…立てる?」
手をさしのべられ、引っ張られるように立ち上がった。
辛そうだね。
君のそういう顔もすごく好きだ…
「ありがとう……スザク…」
まさかスザクがわざとミスしたなんて思ってもみないルルーシュは、スザクの気遣いをうけ、もう一度頑張る決心をする。
無事テイク6でうまくいき、今日全ての撮影を終える。
映像チェックをし、明日の打ち合わせをして今日の予定は終了した。
「ねぇルルーシュ♪今日これから食事にいかない?君のこともっと知りたいんだ//いろいろ話そうよ!」
撮影が終わるなりすぐにジノがルルーシュに駆け寄り、 食事へと誘う。
だが今日はもう大切な約束があった。
大好きな人が家にくる…
「あっ…すみません……今日は…」
ルルーシュは即座にジノの誘いを断ろうとした。
が…
「せっかく何だし行ってきなよ。」
スザクが食事へ行くようにと薦めてきたのだ。
どうして…
今日は家に来るって言ってたじゃないか…
どうしてそんなこと言うんだ…
俺はお前と一緒にいたいのに…
「たまには他の人と話すのもいいよ。行っておいで。」
ニコッと微笑み、ルルーシュの背中をポンっと押した。
疲労がたまり、身体にうまく力を入れることができないルルーシュは、小さな衝撃でも前に押し出される。
「ほらっスザクもああ言ってるし♪」
ジノは前に出たルルーシュの手を引っ張った。
その直後、後方からスザクを呼ぶ甲高い声が聞こえる。
「スザクく〜ん!!!早くぅ☆」
共演者のシャーリーの声だ。彼女はルルーシュに片想いをする同級生の少女役を演じている。
「今日は僕もシャーリーと飲みに行くんだ♪」
えっ…
スザクがシャーリーと?
2人で?
「先に行ってて!!すぐに追うから!!」
「分かった。早く来てね♪」
「うんっ!!」
スザクはシャーリーに返事をすると、じゃあまた明日と一言残し、去ってしまった。
「じゃあ俺たちも行こうか♪」
「すっ少しだけ待ってて下さい!!……えっと……ジノ…」
移動するよう促したジノを制止し、慌ててスザクを追った。
ルルーシュ今…
ジノって呼んでくれた…
くぅぅ!!すごくいい☆
大喜びし、ガッツポーズまでするジノをほったらかし、ルルーシュは走ってスザクを追った。
「スザク!!待ってっ!!」
身体のことなんか忘れ、無我夢中だった。
「まだ走れたんだ。どうしたの?そんなに慌てて?」
いつも見とれてしまう笑顔を向けられ、言葉に詰まった。
「いや……その……今日…約束してたから…」
苦し紛れにそう言う。
「身体もましそうだ
し大丈夫でしょ?」
うまくルルーシュの言葉をかわすスザク。
「そうじゃなくて……」
「なに?」
「シャーリーとは…2人で行くのか?」
「うん、そうだよ。さっき誘われたんだ…可愛いよね、シャーリー。積極的だし…」
嫌だ…
行って欲しくない…
今日は俺といてほしい…
「僕もたまには女の子と話したいし、ルルーシュも僕に遠慮することないんだよ?だって僕たち別に付き合ってる訳じゃないでしょ?」
スザクの最期の言葉に耳を疑う…
付き合ってない……?
キスもして、セックスもしたのに…?
「僕たちは…そうだなぁ………セフレかな?」
笑顔を崩さないままサラリと言った。
セ…フ…レ……
心臓が破れそうなほどドクドクと激しいリズムを刻みだす。
冷や汗がじわっと肌に滲んだ。
付き合っていると思っていた……
スザクも俺のことを想ってくれてるんだと…
だからキスもしたし、身体も繋いだのに…
セフレ…
「じゃあね、ルルーシュまた明日。」
「ま…た…明日…」
弱々しく返事をしたが、ルルーシュの思考は止まっていた。
初めて好きになった人に、セフレだと言われて…
ルルーシュすごく傷ついてた。
あ〜あの顔、写真に撮っておきたかったなぁ。かっわいいんだから。
ホントもう食べちゃいたい☆
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