Beautiful actress ☆
(1)
「ボロ雑巾のように捨ててやるっ!!!!」
カンっ
「カット!!!!」
撮影終了を告げる監督の声がスタジオ内に響きわたる。
「オッケー!!!今日も気合いはいってるねぇ!!すっごい雰囲気でてたよぉ。やっぱこの役は君にしかできないな!!」
大絶賛の監督は上機嫌で横に置いてあったコーヒーを一口啜った。
「ありがとうございます。そう言って頂けて光栄です。」
黒髪の青年は無表情のまま礼の言葉を述べた。
彼の名はルルーシュ・ランペルージ。このドラマの主役を演じている。
「ホントですよ。あの迫力はルルーシュさんにしか出せませんね。自分可哀想とか思っちゃいました。」
明るく笑うのはドラマの中でルルーシュの弟役を演じるロロ。
「ドラマの中の話だろ…」
ルルーシュは素っ気なく答えた。
「まぁそうなんですけど。最近感情移入が激しくって、自分が言われてるような感じがするんですよねぇ。正直今回のボロ雑巾は堪えました。」
「イイ傾向だぞ、それは。演技もだんだんと上手くなってきてるしな。」
「ホントですか!?」
「あぁ。お前の役はこれから本編に深く関わってくるからな、先輩達に負けないように頑張れよ!!」
「はい☆」
監督に褒められて嬉しいロロはスキップしながら楽屋へ戻って行った。
「ルルーシュくん疲れただろう。毎回いろいろ俺のワガママ聞いてもらってるからねぇ。」
監督という立場でありながら謙虚さを忘れないゴローさんは出演者達からの好感度も高い。
「そんなとんでもない。自分の力不足で表現しきれてない部分も多くあって、申し訳ないです。」
ルルーシュはタオルで汗を拭き、監督の隣の椅子に腰かけた。
「いやいや君の演技力には感心するばかりだよ。これからもこのドラマを頼むよ!!」
そう言ってポンっとルルーシュの肩に手を置く。
「はい。」
撮影の余韻を楽しんでいると、スタジオへのドアがゆっくり開き、出演者の1人が入ってきた。
「お疲れルルーシュ。今日も凄かったね。監督もお疲れ様です。」
「あぁお疲れさん。さて年寄りはそろそろ退散するとするか。後は若い者同士で。」
そう言うとニヤニヤしながら立ち上がり出入口のへ向かって歩き出した。
「ちょっ監督、変な言い方は止めてください////」
「はいはい、悪かった悪かった。じゃあまた明日な。」
「お疲れ様です♪」
にっこり笑い監督を送り出す栗毛の青年。
彼の名はスザク。劇中でルルーシュの親友でありライバルでもある重要な役を演じている。 人当たりのいい、人懐っこい性格は役柄ともどこか似ていた。
「ちょっとそんなに熱い視線を送らないでよ。照れちゃう//」
頭をポリポリ掻きながらスザクは下を向く。
「睨んでるんだ!!!」
「ふふっやっぱり?」
楽しそうに笑い、ペロッと舌をだす彼は子供のようだ。
ルルーシュはスザクから目をそらし、お怒りモード。
「絶対勘違いされてる…」
「どんな?」
「どんなって……その…」
「強ち勘違いでもないでしょ?」
言葉に詰まるルルーシュの耳元で甘く囁く。
「/////」
「やっやめろ!!耳元で喋るな//」
「なにっ?感じちゃった?ホント可愛いなルルーシュは。」
「かっ可愛いとか言うなっ//」
耳まで真っ赤にしたルルーシュは憤慨した様子で顔を近づけるスザクを押し返す。
「ホント教えてあげたいよ。狡猾で禁欲的な皇子様が実はこんなに可愛い人だって、視聴者のみんなに…君みたいな子のことなんて言うか知ってる?ツンデレって言うんだよ…」
ルルーシュが嫌がるのもお構い無しに、尚も彼の耳に言葉を吹き込む。
「くっ――」
遂に耳を押さえたルルーシュは立ち上がり、楽屋へ戻ろうとする。それを慌ててスザクがひきとめた。
「ごめんごめん!!冗談だって!!」
「冗談がすぎる!」
「ごめんね。好きな子ほど虐めたくなっちゃう気持ちわからない?」
「わからない……」
ふぅ…
本当に怒りっぽいんだから。
立ち上がったルルーシュをもう一度椅子に座らせ、本題に入る。
「ところでルルーシュ今日はこれからどうするの?まさか真っ直ぐ家に帰るなんて連れないこと言わないよね?」
「帰る…」
「もう…あんまり僕を焦らさないでよ…」
「なんのことだ…」
「またまた…」
「最近美味しいって評判のレストラン予約してあるんだ。今夜一緒にどうかな?」
耳元で話すのは彼の癖らしい…
なんて嫌味な癖なんだ…
確信犯なだけに余計に性が悪い…
「べっ別に行ってやってもいい……」
ホント天の邪鬼なんだから…
そこが可愛いんだけど。
「じゃあこの後駐車場で待ってるから。」
ルルーシュはコクッと頷き、スタジオからでて行った。
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