Beautiful actress ☆
(9)
スザクと一緒にいたかった…
ジノはとてもいい人だったけど、なにか違っていて…
スザクといないと心にポッカリ穴が空いたみたいで、満たされなくて…
苦しかった…
スザク…
今日はシャーリーと2人で食事に…
俺はセフレ…だから…
引き止めることすらできない…
沈みきったルルーシュは、冷たいドアノブをゆっくりひねった。
えっ?
開いてる…
期待に胸が膨らむ。
朝はちゃんと鍵を閉めてでた。
なら、自分以外にここの鍵を持ってるのは…
バタバタと音をたてリビングへと向かい、望んでいた人の姿に、沈んでいた気持ちがいっきに浮上する。
「おかえり、ルルーシュ。遅かったんだね?もう帰ってるかと思って来たんだけど、まだだったから勝手に上がらせてもらったよ。」
はぁ はぁ
心臓が高鳴る。
スザク…
「スザク…シャーリーは…?」
一緒に食事に行くって言ってたから…
「あぁ、向こうは女の子だからね。遅くなるとよくないから、早めに帰ったんだ。」
スザクは扉の前に突っ立っているルルーシュに、笑顔でそう話した。
なぁんてね。
ホントはルルーシュがいない食事が予想してた以上に楽しくなくて、早く終わらせたんだけど。
僕も相当きてるみたい…
ルルーシュはどうだった?
僕のいない時間は…
「そうなのか…」
スザクが会いに来てくれた…
シャーリーよりも俺といることを選んでくれた…
とても嬉しい…
ルルーシュは下を向き、ほんの僅かに頬を緩める。
もちろんスザクはその小さな仕種も見逃さない。
可愛いなぁ…
嬉しそうな顔して…
隠してるつもりかもしれないけど、僕はちゃんと見てるよ?
ん〜また虐めたくなるぅ!
「ルルーシュ、そんなとこ立ってないでこっちおいでよ。」
スザクは手招きし、自分が座っているソファの横にくるように促す。
「あ…あぁ……」
返事をしつつもなかなか此方に来ないルルーシュを見かねて、スザクの方が歩みよってきた。
ルルーシュのすぐ前までくると、そっとその身体を抱き寄せる。
心地よくて、身体をスザクにあずけた。
もたれ掛かれば、力強くルルーシュの身体を抱き締めてくれた。
好きなひとの匂いにうっとりしていると、スザクは意地悪い笑みを浮かべる。
「ルルーシュ…ジノはどうだった?…」
嘲笑しながらスザクが吹き込むように耳元で囁く。
まるでジノと関係をもったかのような聞き方に、かっとなった。
「スザっ!…」
反論しようとスザクの身体を押し返したが、彼がそれを許さない。強い力で顔を掴まれた。
「よかった?…優しかったでしょ?……」
その言葉に、怒りを通り越して悲しくなった。
お前が行けって言ったから、行ったんだ…
本当はお前といたかったのに…
お前がそう言ったから…
俺は…
涙を瞳いっぱいにため、悔しさに唇を噛む。
拳を握った瞬間、今まで立っているのも辛かった体が遂に崩れ落ちた。
「おっと…」
咄嗟にスザクがルルーシュの身体を受け止める。
あ〜またやりすぎちゃった。
悪い癖だなぁ。
「ごめんね、ルルーシュ…身体辛いよね?マッサージしてあげるからベッドに行こう。」
座り込んだルルーシュに優しい言葉をかける。
額にキスをしてあげると、瞼を伏せ、大きな瞳に溜め込んでいた涙を溢れさせた。
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