little garden ☆
〈8〉




全てを話し、乞うような眼差しでロイド先生を見つめた。
ほしい答えは一つだけ…
僕達は愛し合っているという証拠が欲しかった…


けれど、彼の表情は曇り、口を閉ざす。



少しの沈黙の後に紡がれた言葉は、僕達を絶望の淵へと落とした。



「君達には少し酷かもしれないけど、正直こんな話は聞いたことがない…僕が知らないだけなのかもわからない。しかし、今まで愛し合う者同士の間には確かにその証が現れた…それが出ないということは…」



そこまで言って再び黙り込む。


僕とルルーシュも俯いて、涙を必死に堪えた。
強く握りあっていた互いの手の力が、少し弛んでしまったことが余計に僕達の胸を締め付けた。



「でも、聞いてほしい。君達が本当に愛し合うなら、それが真実だ。君達が初めての例だということも考えられる。思い詰めることはない、ずっと一緒にいればそれこそが愛の証だと僕は思うよ。」



「…はい…」


振り絞った言葉は震えていて、募る不安感を隠せなかった。




弛んだ手をもう一度強く握り直して、僕達は見つめあう。




ルルーシュも僕の手を握り返してくれた。それに少し安堵して、笑みが溢れる。笑ったのは久しぶりだった。


僕らの気持ちがあれば、それが真実だから。
君がいれば他は何も要らない…
何も欲しくないから、君だけは永遠に…


決心を新たに、ロイド先生にお礼をして、部屋を出ようとした。



「スザクくん!」


「えっ?」


急に呼び止められ、振り返るとロイド先生が手招きをしてもう一度僕に席に着くよう促す。



「ちょっといいかな…」


コクンと頷き、ルルーシュに軽くキスをして、愛してると囁いた後、彼を先に送り出した。すぐに行くからと僕が微笑むと、艶めく唇は弧を描き、ルルーシュも美しい紫の瞳を細めた。



その時のルルーシュは何時ものルルーシュで、寧ろ迷いが無くなったのか真っ直ぐな眼差しをしていて、綺麗で、暖かくて…



僕は彼の中で変化しだした何かに気づけなかった。




****



「ロイド先生…あの……」


問題は解決した筈で、呼び止められた意図が分からずにスザクは首を傾げた。



「さっきの話で…ルルーシュ君のことで少し…気になることがある。」


重苦しい雰囲気から、良くない話なのだと嫌でも分かった…


「ルルーシュが…何か?…」


「彼はさ…僕らとは少し違うんだよ。スザク君…」


「えっ…」



「スザク君も知っていると思うけど、今ここで彼と同じ血族は弟のロロだけで、とても珍しい血統なんだ。もしこの先も君達の間に子を授かることが出来なければ、どうなると思う?」



「どうなるって……?」


「彼の血統は途絶えるかもしれない…」


「…あっ……」


「まぁ、まだロロがいるけど…」



困ったような表情を浮かべ付け足した。ロイドも知っている…
2人が結ばれることを心から祝福できなかったものが1人いることを…




「掟のことも分かってるよね。1人の存在が1人しか生めないんだ、一生誰とも愛し合えない僕みたいなものがいる限り、確実に数は減っていく。授かる子は1人でも多い方がいい。君達に押し付けて悪いんだけどね。」



「でも僕は…ルルーシュじゃないと……ルルーシュが僕の運命の相手なんです!ルルーシュだって…」



「ねぇスザク君、もともと数の少なかったルルーシュ君の血族が今まで途絶えることなくその血を繋いできたのはなぜたと思う?」


「…それは……」


「誰かと愛し合って、必ず子を授かってきたからだよ。事実、彼のご両親は2人も子を残した。最近では兄弟を持つ者なんてほとんどいなかったのに…。子への執着が僕らとは違うんだ…つまり…」



そこまで言われて、理解せざるを得なかった。
つまり…そういうこと…


ルルーシュにとって、子どもを残すことが最優先事項で、それは絶対の掟で、本能的に脳に刷り込まれていることで…


だから…
僕との間に子を授かれないと分かったら…
ルルーシュは…



「…何で…僕らだけ…こんなにも愛し合っているのに…」


「辛いけど…認めないといけない…ルルーシュ君は確かに君を愛してる。でも、子ができないとしたら…本能が心を裏切るかもしれない…」





『君の側を離れるかもしれない…』











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あきゅろす。
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