little garden ☆
〈2〉
「ルルーシュっ!!こっちだよ!こっちにきて!!」
スザクは駆け出し大きな声でルルーシュを呼んだ。
「早く!!君にみせたいものがあるんだ!!」
「待ってくれ!はぁ……はぁ…速い…」
体力のないルルーシュはスザクが走るスピードに全く着いていけない。立ち止まり呼吸を整えるのに必死だ。
「あっ………」
それに気付いたスザクは慌ててこちらに戻ってくる。
「ルルーシュ大丈夫?ごめんね、早く見せたくて…」
スザクは心配そうな顔をしながらルルーシュの背中をさすった。
「悪い……はぁ…俺…体力ないんだ…」
ルルーシュは申し訳ないとスザクに謝る。
「ううん、僕が悪いんだ!君のこと考えずに１人で突っ走って…」
「もう少しなんだけど、歩ける?」
「大丈夫だ。向こうに何かあるのか?」
何も聞かされずに連れて来られたため、ルルーシュは何があるのかを知らない。
「えっとね……すごく…綺麗な花があるんだ!君にどうしても見せたくて。」
「そうか…楽しみだ。」
そう言って優しく微笑んだ。
「うん///」
彼の喜ぶ顔が早く見たくて、はやる気持ちを押さえられない。
それから１０分程歩いただろうか。
見えてきたのは一面の花畑。
「すごいな…」
黒髪の少年は驚きの表情を浮かべている。
しかしスザクは更に奥へ奥へと進んで行く。
この花畑じゃないんだろうか。鮮やかな色を宿した美しい花達。咲き乱れる花弁が絨毯のように敷き詰められている。
この場所も十分に綺麗なのだけれど。
「ルルーシュここだよっ!!」
彼が指差した方向には一輪の花が咲いていた。
美しい鮮やかなアメジスト。
それはまるでルルーシュの瞳のよう。
「その……君みたいだと思って…」
スザクが恥ずかしそうに告げる。
「この前散歩に来たときに見つけたんだ!!大きさはそんなにはないんだけど、色が凄く綺麗で…」
ルルーシュはスザクが自分のようだと言った花を見つめる
「ありがとう。綺麗だ…とても…」
恋人の笑顔。
この顔を見られるなら…
僕は何でもできる。
何にでもなれるよ。君のためなら……
どちらからともなく唇を寄せる。
最初は触れるだけの啄むようなキスを交わす。
ルルーシュが息継ぎをした瞬間を見計らって舌を絡ませる。
チュっ…クチュっ…
時々こっそり目を開けたりしてお互いを確かめあった。融けるような甘いキス。
幸せな時間。
大好きな人と過ごすなによりも大切な時間。
君がいるなら何もいらない……
長いキスが終わり、ルルーシュは息を整えている。
「ごめんね。苦しかった?」
スザクがルルーシュの顔を覗き込む。
ルルーシュはふるふると首を振り、目を細めた。
「そっか。良かった…」
そう言って下を向く。静かな時間が流れる。
風のそよぐ音が耳にとても心地よい。
川のせせらぎがどこからか響いてくる。
スザクはそっとルルーシュの手を握り、囁いた。
「ルルーシュ………僕と一緒になってほしい…」
愛の言葉が紡がれる。なんの飾りっけもないスザクの精一杯の言葉。
愛する人とずっと一緒にいたい…
その想いはまるで祈りのよう。
「僕と生きてほしい…」
握る手に力がこもる。ス
ザクは握ったルルーシュの手にキスを落とし、じっと宝石のようなアメジストを見つめる。
その瞳からはどれだけ自分が愛されているのかが自ずと伝わってきた。
あぁ…俺は幸せだ…こんなにも愛されて…
こんなにも愛しく想える人と巡りあえて…
答えはわかりきっている。考える必要なんて無い…
「はい…」
はぁ……
涙がでそうなほど幸せ…
スザクは思う。
自分は神様から何よりも誰よりも美しい花を頂いたのだと…
この楽園では愛することに制限など存在しない。愛し合った者達は誰からも邪魔されることなく、生涯をともにするのだ。
親子であろうが兄弟であろうが、必要なのはその想いだけ。
愛し合った恋人達は、一夜を共にし、その印をもらう。
首筋の蝶のマーク。 それは愛し愛された証そしてそのマークが消える時、新しい命を授かるのだ。
この世に２つとない花が何処かに芽生え大きな蕾が華開くとき、２人の新しい宝物が産声をあげる…ルルーシュとスザクもそうしてこの世に生をうけた。
一緒になる。
それは２
人で新しい命を作ろうという意味。
子どもができて初めて真に結ばれるのだ。
「絶対…絶対に幸せにするよ!!ここに住む誰よりも!!」
スザクはもう一度ルルーシュの手に口付けた。
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