お仕えします♪
【6】



何を作ろうかと考えていたスザクにルルーシュはもう既に考えていた献立をつげる。



「麻婆豆腐だな。」


「僕もそう思ってたっ!!」


冷蔵庫の中には豆腐と挽き肉が、あと野菜が何種類か入っていた。 おそらく中華連邦へ旅立った母が気をきかして中華料理を選んだんだろう。



「僕作ったことあるよ!!家の家族はみんな中華料理好きなんだ♪」

そうか…
お前の作ったことがあるは宛にならない気もするが…
まぁいい。
全く経験の無い物を作るよりかは幾分かましだろう…


「じゃあ…手分けして作ろう。スザクは…そうだな…まず見ていろ…」


「分かった!!」


こいつの腕がどのくらいなのかを計らなければならない。まずは見学させて様子を見るのが得策だろう。



「うわぁ!!ルルーシュすごいね☆」


ルルーシュは手際よく豆腐を適当な大きさに切り、挽き肉を炒める。それを見てスザクは感嘆の声をもらした。



その後、炒めた挽き肉に豆腐・薬味・スープを入れ、味付けをし煮込む。


「じゃあスザク、そこにある片栗粉を水で溶かして、麻婆豆腐の中に流し込んでくれ。豆腐を崩さない程度にお玉で素早く掻き回しながら、片栗粉が一ヶ所に集中しないようにな。」



「俺はこっちでサラダを作っているから…」


「分かった!素早くだね♪」


そう指示を出してからルルーシュはスザクに背を向けた。



「素早く素早く♪」


ぐる…ぐる…ぐる…ぐる…



ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる


びちゃっグチャっカーンっカキーンっびちゃっ



「Σちょっちょっと待てスザク!!」


異様な音にルルーシュは慌てて振り返り、スザクを制止した。
が時すでに遅し…



「えっ?なに?ルルーシュ?」


振り返ったスザクの顔は飛び散った麻婆豆腐でぐちゃぐちゃだった。


不思議そうに首を傾げるスザク。


何故だ…

確かに俺は素早く混ぜろと言った…
だがしかし豆腐が崩れないようにとも言っただろ?
お前の耳に入ったのはそこだけか!?
後は全部スルーですか!?



「スザク…鍋の中を見てみろ…」


「鍋の中?」

チッチッチッ



「はわわわわっ!!!!麻婆豆腐が減ってる!!!」



「減ってるんじゃない、お前が吹き飛ばしたんだっ!!」


今まであんなになよなよしてたのに、なんでここだけこんなに男らしいんだ!!

限度!!


「スザク……そっちはもういいから、そこの中華スープを温めてくれ…」


ルルーシュは顔に手を翳しため息をつくのを必死に堪え、目元をピクピクさせながらスザクに次の指示をだした。


「うっうん…」


しょんぼりしたスザクは隣のコンロの上に置いてあったスープに火をかける。


グツグツ…



「少し火が強いな…弱火にしてくれ…」


「うん!」



グツグツグツグツ…


ブクブクブクブク
シュワァァァ



「スザク弱火だっ!!!」

「えっ?弱火だよ?」


「そっちは強火にする方だろうがっ!!吹きこぼれてるじゃないか!!火を止めろ!!!早くっ!!」


「わぁーーー!!!!」


ガシャーーーン…









「ごめんね…ルルーシュ……」


「頼むスザク、今俺に話しかけないでくれ…」




「うっ………」


ルルーシュの呆れ顔にスザクは涙をじんわりと滲ませる。


「泣くなっ!!泣きたいのはこっちだ!!!」


「うぅぅぅぅっ………ごめんねぇぇ……」


「泣くなと言っているだろう!!!」


「だってぇぇぇ…」


申し訳なさと自分の不甲斐なさに苛まれてスザクは涙を止めることができない。


「はぁ……味付けは俺がしたから大丈夫なハズだ。冷めないうちに食べろ。」


スザクは涙を拭い、2人で作った麻婆豆腐を一口食べた。


「……すごく美味しい……」


泣きながらそう言った。


「そうか…」


ルルーシュはふんわりと微笑む。



あぁ…分かった。
なんで俺がコイツを見捨てられないのか…
コイツ真っ直ぐなんだ…


今まで会った誰よりも…
汚れてなくて、真っ白で、素直なんだ…



「スザク…今日はお前も疲れてるだろうし、それ食べたら風呂に入って寝ろ。風呂は俺が入れてやるから…」


「うぅっ……うん……」


「お前も学校があるだろ?明日は夕飯の材料学校が終わってから一緒に買いに行こう。」







夕食を済ませた後、スザクはルルーシュの入れた風呂に入り、『ごめんね、ありがとう』と言って自室に戻った。





スザクが眠った後、ルルーシュがカオスと化したキッチンを1人で片付ける羽目になったことは言うまでもない…











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あきゅろす。
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