お仕えします♪
【4】
「お前執事養成高校に通っているんじゃないのか?」
壊れた食器を片付け、もう一度ソファーに向かい合って座る。
するとスザクはポツリポツリと話始めた…
「僕……学校でもダメダメなんだ…皆からもダメダメのドジっ子スザクって言われてて……」
スザクは話ながらポロポロと溢れる涙を拭った。
「なっなにも泣くことはないだろう……」
泣き出したスザクを見てルルーシュは内心慌てる。
何なんだコイツっ!
泣きたいのはこっちだ!!
これから半年間一緒に生活する相手がドジっ子執事だと?笑えないぞっ!!
「じゃぁなんでこの依頼を受けたんだ。嫌なら断れば良かっただろう?」
泣きじゃくりながらスザクは続ける。
「うぅ……だって…父さんも……ひっく…母さんも僕に期待してくれてて……僕……皆の期待に答えたくて……うぅっ…」
なんて女々しいやつなんだ……
やりにくいわっ!!
「…それで…親の頼みを断れなかったのか?」
ルルーシュは腕を組み、もはや最初のイメージを少しも留めない少年の泣き顔を一瞥する。
「…そっ…それもあったんだけど…ひくっ…ここで特訓すれば……もしかしたらできる子になれるんじゃないかと思って……それで…ひっ…」
俺で特訓するなっ!!
できない奴が急にできるようになれる訳ないだろう!?
真性のバカだなコイツ…
「…ごめんね…ルルーシュ……」
そう言って少年はウッルウルになった大きな瞳でルルーシュを見上げた。
うぐっ!!
そんな目で俺を見るな!!
まるで俺が苛めてるみたいじゃないか…
「僕…ルルーシュの役に立てなくて……」
あぁぁっクソっ!!
なんなんだコイツは!!
俺の母性本能をクスグルんじゃない!!!
「ルルーシュ……僕なんかいない方がいいよね?…僕お家に帰るね……」
そう言ってスザクが立ち上がろうとしたのをルルーシュのよく通る声が引き留める。
「分かった!!!」
ルルーシュは大きな声でそう言った。
「俺がお前を一流の執事にしてやるっ!!」
ルルーシュの思わぬ申し出に、スザクは首をコテンと横に傾げた。
うぅっ…
可愛いすぎる…
どこからくるんだこのチワワ顔負けの可愛さは…
本意ではない…
このクソ多忙な俺が筋金入りダメっ子の面倒をみるなどという厄介を増やすのは断じて本意ではないのだが…
「ホント?………」
驚きの後、翡翠の瞳がたちまち喜びの色を灯しだす。
「あぁ……お前と出会ったのもきっと何かの縁だ……半年間俺が面倒見てやる…」
「うっうっ……ルルーシュぅぅ!!」
「抱きつくな////」
「だって、僕嬉しくて////ありがとう!!ありがとうルルーシュ!!僕頑張るよ☆」
あぁ…俺は選択を誤っただろうか…
とりあえず、今は何も考えたくない…
ルルーシュは現実から逃避した。
「スザク、ここがお前の部屋だ。生活に必要なものは全てこの部屋にそろっているから、それを使ってくれ。」
物の使い方などルルーシュは丁寧に説明をする。
「ありがとう!!優しいんだねルルーシュ////」
スザクはルルーシュの紳士な態度に照れた面持ち。
「普通だ…」
それに素っ気なく答えたルルーシュは、心の中で黒い笑みを浮かべていた。
ふっ優しいだと?
ぬかせ!!今に見ていろ、
俺はやるからには手は抜かないっ!!
スパルタだ!!!
できない奴には体罰だ!!
覚悟しておけ!!
とルルーシュは心の中でスザクに言い放った。
ルルーシュの体からスーパー〇〇人さながらの気が出ていることに天然のスザクは全く気づかない。そんなことはお構い無しに部屋に飾ってあったクマのぬいぐるみとじゃれている。
「じゃぁスザク、暫くすることもないから荷物の整理でもしていてくれ。」
「うん!!あっ何か用がある時は呼んでね♪」
「あぁ…分かった…」
一体お前に何ができるというんだ?という素朴な疑問はあったが、敢えて触れずに部屋を後にした。
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