お仕えします♪
【3】




栗毛の少年が嬉しそうに笑う。
ルルーシュとはまた違った魅力。
美しいと言うよりは可愛らしい笑顔。



…かっ可愛いじゃないか…

不覚にも少しトキめいてしまった。



「ところでスザク。」


「なに?」


満面の笑みで聞き返す。


「そろそろ手を放してくれないか?」


捕まれたままになっていた腕を見ながらきつくならないように柔らかく指摘した。


「ごっごめん///」


「ふふっ変な奴だな。」


「よく言われる…」


しゅんっと俯いてしまったスザクは、まるで犬が怒られて耳をたらしているみたいだ。


「あぁ別に責めてるわけじゃないんだ。ただ今まで会ったことないタイプの人間だったから。気にしないでくれ。」



沈みかけたその場を必死で盛り上げようとする。
感情の起伏が激しいらしいスザクは、些細なことでも傷ついてしまう繊細な人間のようだ。



「じゃあ紅茶いれて来るね!!カップと葉はどこにあるかなぁ?」



「カップはキッチンの横の食器棚のを使ってくれ。葉は上の右から2番目の棚に入ってる。」



「分かった!!ちょっと待ってて♪」


スザクはルンルンとキッチンの方へ歩いていった。






なかなか可愛いやつじゃないか。少し変わったところはあるが、あいつとなら半年間なんとかやっていけるかもしれない。




スザクとの関係に光を見出だしつつあったその時…






ガシャンっガシャっガシャっカ―ン………




なっなんだ!?この激しい騒音は!?



一体あいつは彼処で何をしているんだ?
紅茶を入れるのに何故こんな金属音がする!?



あぁそうか初めての仕事だからな。きっと緊張して手先が狂ったんだろう…
きっとそうに違いない。




………シーン………




暫くしてスザクがキラキラした笑顔でやってくる。彼が持つトレイの上には見覚えのある上品なティーカップ。




「お待たせ!!熱いから気をつけてね。」





そう言ってルルーシュの前に怪しい音と共にいれられた紅茶の入ったそれが静かに置かれる。




コトっ




「さぁどうぞ☆」




「あぁいただくよ。」





何故だろう…
これを飲んではいけない気がする…
見た目は普通の紅茶だ。
薫りもいいし、なんら問題はない。
だがしかし、誰かが俺に語りかけてくる。



その紅茶を飲んではいけないと…




カチャっ



徐にカップを手に取り勇気をだして一口すすってみた…




っ!!!!?




「ゴホッゴホッ……」


「どうしたのルルーシュ!!!!」





あ"っ甘っ!!!!



どんだけ砂糖をいれたんだ!?
尋常じゃないっ!!!
狂ってやがるっ!!!!

どうやったらこんな甘さになるんだ!!??
味覚に関する表現の全てを超越している!
刺す!甘さが俺の舌を刺してくる!




しっしかしここで切れてはいけない……
落ち着け俺。
優しく…優しく…




「すっスザク…少し砂糖が多かったんじゃないか?」



ルルーシュのその一言にスザクの表情が一気に曇る。



「ホントっ!?ごめんね!!すぐいれ直してくるからっ!」


「いやっいまはい…」


言い終わる前にスザクはルルーシュから強引にカップを奪い、キッチンの方へ慌てて走って行こうとした。


が…




ツルっ



ガッシャーーーン……








転んだ挙句、カップを粉砕…



プチンっ
何かが切れる音がした…






「こっんの役立たずがぁ!!!!ガシャーーーン」




「ヒィィィィっ!!!ごめんなさいぃ!!!」







夢だと信じたい……
これはきっと悪夢だ。
明日の朝目覚めたらこいつはいなくて、俺の天使が微笑んでいるのだと…













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