お仕えします♪
【9】



「でっ…ルルちゃん…?このお方は…?」



「僕の名前は枢木スザクです♪」



四方を生徒会員達に囲まれ椅子に座っていたスザクがミレイの問いに元気よく答える。泣き止んだスザクの瞳は何時も以上にキラキラしていた。



が、その元気な挨拶にルルーシュが深い溜め息で答えたことは容易に想像がつくだろう。



「それでスザクくんはルルーシュのお友達なの?」



突然現れたルルーシュの『何か』に興味津々な一同は、スザクへの訊も、いや質問を続ける。
シャーリーも例に漏れることなく素朴な疑問をぶつけた。



「あっいえ僕はルルーシュのし「ああぁぁっ!!」



スザクが言い終える前にルルーシュの奇声が最後に告げられるであろう聞きたくない単語を掻き消す。



「Σちょっと何よ急に、びっくりするじゃない!」



「いえ、何でも…さっき大声を出したので声がちゃんとでるか確かめただけです。うんっんっんっ…あー、あー…」



「「はぁ?」」



くっ!!
ちょっと強引すぎたか。
いやしかし、スザクが俺の執事だということは絶対に知られてはならない!
ましてや一緒に住んでいるなんてことがばれたらどんな妄想をされるか分かったもんじゃない!
特に会長なんかは…


考えただけでも恐ろしい…


「ねぇねぇ、スザクくんはルルーシュとどういう関係なのかな?お姉さん凄く気になるなぁ?」



質問攻めにあい少しおどおどしだしたスザクを怖がらせないように優しく尋ねたつもりなのだろうが、盛大に逆効果。
というかどこのキャバ嬢なんだ。会長の発する猫なで声にスザクは身震いをおこしていた。



まぁ何にせよ、やはり皆が一番知りたがっているのはルルーシュとスザクとの関係性だ。故に質問はどうしてもルルーシュが知られたくない内容の事柄が対象となる。



「う〜ん…とね、だから僕はルルーシュのしつ「よし!スザク!帰るぞ!」



「ちょっルルーシュなんなのよ!さっきから邪魔ばっかりして!何か私達に知られちゃまずい疚しいことでもあるの?」



「ありませんよ、そんなもの。スザクは俺のた・だ・の友達です。」



何時ものようにさらりと言ってのけて、ルルーシュは扉の方へと踵を返す。
友達と紹介されたことにスザクの瞳に今までにないほどの喜びの色が満ちたことは全力で無視だ。



「行くぞ!スザク!」



「うんっ!」



ルルーシュが呼びかけるとスザクは嬉しそうに頬を緩ませ勢いよく立ち上がった。そして子犬のように大きな瞳を輝かせてルルーシュの後をついていく。



「あっルルーシュ待ちなさいよ!まだ答えを聞いてないのに〜…」



ミレイが残念そうに肩を落とそうとしたが、それにはおよばなかった。



「ねぇルルーシュ!今日の夜ご飯は何がい〜い?」




ピシッ




その新妻のようなスザクの一言に生徒会室の時間は一時的にストップする。
ルルーシュとて例外ではなく、その身体は金縛りにあったかのように停止した。


しかしストップしていないもの一名。何故かって?彼が空気を読めない体質だからだ。



「えっ?なに?皆どうしたの?」



不思議そうにキョロキョロと辺りを見回すスザク。
周囲の者達の表情は美しい彫刻のように固まっている。




バレたっ!




脳内にその言葉が浮かんだ途端にルルーシュは弾かれたようにまたすたすたと歩き出す。
それに反応して生徒会室の時間も動き出した。



ちっ!
誤魔化しきれそうだったのに。最後の最後に爆弾を落としやがったっ!
このクソったれがっ!!



それに一体そのセリフはなんだっ!何処の主婦だ!
だいたい、お前に作れる料理などこの世に存在しないっ!!よってお前に『今日の夕飯何がいい?うふふ』なんて聞く権利はないっ!!
分かったかっ!!



はぁ…少しすっきりした…じゃないっ!
どうする…完全にバレた…ここは…



逃げるが勝ちだっ!



「うそっ!スザクくんルルーシュにご飯つくってあげてるの!?ってことはつまり…二人は…」



「早くこいスザクっ!!」



そう一喝して生徒会室を飛び出す。それにスザクも慌てて着いていった。
後にした部屋の中からは黄色い叫び声が聞こえていた。
そしてその響きはより一層ルルーシュの頭を悩ませたのだった。









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あきゅろす。
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