やっぱり愛しいスウィートハート(ルル誕)
ハッピーバースデイ♪
「ハッピバースデイトゥーユー、ハッピバースデイトゥーユー、ハッピバースデイディア兄さ〜ん(お兄様、ルルーシュ〜)」
「ハッピバースデイトゥーユー!」
ランペルージさんを除く全員で誕生日の歌を大合唱した。この曲をちゃんと最初から最後まで歌ったのは久しぶりだ。いつの間にか歌わなくなっちゃうんだよね、なんとなく恥ずかしくなってさ…
歌のリズムに合わなくて咄嗟にルルーシュって言っちゃったけど;ばれてないかな。一瞬弟くんに睨まれたような気がしたのは気のせいだよ…ね…?
最後まで歌い終わった後、彼は目の前のケーキに立てられた蝋燭の火を吹き消そうと大きく息を吸い込む。金魚のように口をパクパクさせながら、吸い込んだ息で頬を膨らませた姿はハムスターみたいだ。
普段は大人びた雰囲気のあるランペルージさんの子どものような可愛らしい一面に僕の胸はまたドキドキ!
「ふ〜〜〜〜っ!」
「頑張れっランペルージさん!」
顔を真っ赤にしてありったけの息を吐ききるも、18本立っていた蝋燭の内残念ながら8本残ってしまった。はぁはぁと荒い息使いで肩を上下させるランペルージさんは、酸欠で目眩がしたのかフラフラしている。
こんなに頑張ったのに全部消えてあげないなんて、なんて意地悪な蝋燭だろう!ついたままの蝋燭を見たらランペルージさん悲しむんじゃないかな…
どうしよう…
「フッ!」
「あっ!」
クラクラしているランペルージさんを支えてあげていると僕の横から突風が吹いき思わず声をあげてしまった。
残念だったねって励まそうとした矢先、彼が目眩で前を見られなくなったのを見計らって弟くんが目にも止まらぬ早業で残りの蝋燭の火を吹き消したのだ。
「兄さんすごいよ!今年も全部消えたね!」
そう言って弟くんは何事もなかったかのように微笑んだ。天使のような笑顔を浮かべているけれど、正直さっきの技を繰り出す表情はちょっと怖かった…
『驚かせてすみません。毎年お兄様の消し残しはロロが消すんです!』
唖然としている僕にこっそり耳打ちしたのは妹ちゃんだった。
後で聞いた話だとこれにはいろいろと深い訳があるらしい。
みんながまだ小さい頃、蝋燭の火を全部消せなかったことでランペルージさん泣き出したんだって。悲しそうに泣くランペルージさんを見て、なんですぐに消してあげなかったんだろうってみんなすごく後悔したんだ。
それ以来弟くんがランペルージさんにばれないように消してあげるのがお決まりになったのだとか…
なんて美しい兄弟愛だろう!
そうだよね!誕生日なんだもん、ちょっとぐらいずるしたってバチはあたらないよ!
「ぜんぶ…きえ…た…?」
「消えたよ!ランペルージさん!おめでとう!」
やっとのことで目眩から解放された彼の問いに素知らぬ顔で口蔵を合わせる。嘘はあまり得意じゃないけど、何とか誤魔化せたと思う。
僕はなにも見てない、ランペルージさんが全部消したんだ!
すごいねって言ったら、こぼれ落ちそうな程の満面の笑みで返された。
僕、弟くんの気持ち凄くわかる。こんな笑顔を見せられたら勝手に体が動いても仕方ないよ。毎年こんな素敵なプレゼントがもらえるなら、僕だってそうしたと思う。
「さぁ!ここからはママの出番よ。ルルーシュのは1番大きく切ってあげるからね。」
腕捲りをしたお母さんは蝋燭を綺麗に取り去った後、慣れた手つきでケーキを切り分けてくれた。ケーキの上に沢山のった苺を均等に分けていく。ランペルージさんのケーキにはみんなより1つ多く苺がのっていた。
「ん〜っ!すっごく美味しい!やっぱりケーキはここのじゃないと!」
「とっても美味しいですわ!」
「ホントっ!すごく美味しい!」
ケーキは一口ほうばれば頬っぺたが落っこちそうなほど美味しくて、自然と笑みが溢れた。
なんでも予約しないとありつけない有名なお店のケーキだったんだって。それであんなに早くに予約にいったのか。何にせよ僕はこんな美味しいケーキには二度とお目にかかれないと思う。そのくらい絶品だった。
ランペルージさんも目の前に置かれた特大ケーキと格闘しながら一生懸命食べていた。普段は食が細いせいかあまり食べないから、きっと食べきるのに必死なんだ。
一口食べてはケーキとにらめっこ。
減らないなぁ減らないなぁってうんうん唸りながら頭を悩ませている。ふわふわしたクリームに苦戦している姿はすごく愛らしくて、僕の顔は緩みっぱなしだ。
そんな彼の様子をみんな幸せそうに見ていた。
僕も、今この時間をランペルージさんと一緒に過ごせて本当に幸せだったんだ。
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