やっぱり愛しいスウィートハート(ルル誕)
そんな君が1番です!



「次は、え〜と…62番!」

「な〜い!」


一同の残念がる声が部屋に響く。食事を終えた僕らは次のスケジュールに進み、今まさにビンゴの真っ最中だ。弟くんがガラガラっと小さな玉の入ったガチャガチャ機を回して番号を読み上げる度に皆でブーイングしたり、喜んだりする。


僕運が悪いのかなぁ〜。溜め息をつきながら見下ろした僕の台紙は穴がまだ1つしかない。ほら、最初にみんな空けるあれだよ。
でも、今はとっても楽しい!だって僕の隣には大好きな人がいるんだもん!広いふかふかの絨毯の上に座ってから、ランペルージさんは迷わず僕の隣にきてくれた。



ランペルージさんはどのくらい空いたかなぁ。
ヒョイっと隣でニコニコしている彼の台紙を覗いてみる。



「わぁー!ランペルージさんいっぱい空いてるね!」


「ぁっ…いま…までの…すう…じぜん…ぶ…あった…」



「ホントに!?すごい!きっともうすぐビンゴだよ!」



やっぱりランペルージさんはすごいや!なんか彼のがこんなに調子いいんなら、僕のは一個も空かなくてもいいや。


ふふ、ランペルージさん早くビンゴにならないかなぁ。どんな風に喜ぶのか楽しみだ。



「くる…るぎ…くん…」



「えっ?」



「くる…るぎ…くんの…いま…あった…」



そう言ってランペルージさんは僕が持っている台紙の該当する番号のところをパチッと空けてくれた。ランペルージさんの細い指が僕の指先に当たってひんやりする。そのひんやり温度とは打ってかわって、僕の身体は一気に熱くなった。



なんか胸がおかしいよ!どんどんいってるよ!



ありがとうって僕が言うと照れたように俯いて、どういたしましてと言った。 僕は頭悪いから1つの台紙を見るので精一杯だったけれど、ランペルージさんはそれから自分のより先に僕のがないかを見てくれている。そういえば、ランペルージさんの隣に座っている妹ちゃんも2つ持ってるな。



「ロロ!私のは全然ないですよ!お母様のはいっぱい空いているのに。ズルしてるんじゃないですか!」



僕と同じくらい当たりの少ない妹ちゃんが文句を言う。そうか、あのもう一個はお母さんのだったんだ。でも、空いてる方を自分のにしないところが流石はランペルージさんの妹って感じかな。



「ナナリーの運が悪いだけだよ。次いくよ、23番!」


「ぁっ…リーチ…」ボソリと呟いたランペルージさんの台紙を見ると確かに並んで4つ空いている。妹ちゃんがぷんぷんしている矢先のリーチだったためか、ちょっと申し訳なさそうだ。



「やっぱり早かったね!僕も負けないぞ!」



「お兄様はきっと今日、とても運があるんですわ!」



剣呑な雰囲気が立ち込めるのかと思いきや、ランペルージさんがリーチだと聞いて、双子ちゃんはとても喜んでいた。二人が喜んだのを見て、ランペルージさんも笑顔を綻ばせたんだ。


そして次に読み上げられる番号で彼はビンゴになった。予想していた通りの結果に、弟くんも妹ちゃんも満足そうに笑っている。



ビンゴになった人はさらにくじ引きを引いて商品を選ぶシステムになっているらしく、ランペルージさんはビンゴの台紙を持って弟くんのところへ向かう。このやりかたなら平等に景品を選べるもんね。ビンゴのやり方まで頭良いなぁ。



僕がうんうんと感心していると、すでにランペルージさんがクジの入った箱の中に手を入れるところだった。
でも、何度かガサガサっと箱の中身を掻き回した後、何も取らずに手を抜いてしまった。



「?兄さんどうしたの?」



不思議に思った弟くんはランペルージさんの顔を覗きこみながら首をかしげる。後ろから見たらショボンと落ち込んでいるようにも見えるランペルージさん。
ホントにどうしちゃったんだろう。



僕も心配になって声をかけようとしたところで彼は僕の方へと振り返った。



「おれ…くじうん…ない…から……くるるぎ…くん…にひいて…もらい…たい…」



えぇ〜〜〜〜!!
そんな重大な任務僕にはとてもじゃないけど荷が重すぎるよぉ;僕を選んでくれたことはとてつもなく嬉しいけど…



「兄さんっ!自分で引いた方がいいよ!」



もじもじしながらそう言ったランペルージさんに、弟くんもビックリしたのか慌てて彼を止めている。
弟くんのいう通り自分で引いた方が…



「僕もくじ運悪いよ?ランペルージさんが引いたほうがいいんじゃないかな…?」

「…い…や…?」



「嫌じゃないよ!でも…ホントに僕でいいの?」



傷つけないようにやんわりとお断りしたつもりだったんだけど…
ランペルージさんは自分だからしたくないと言われたんだと思ったのか、目をうるうるさせ始める。



「くるるぎ…くんが…いい…」



キュ〜〜〜ン
また反則技だよ;そんなちっちゃくなって上目遣いされたら、どんな厳つい人だってメロメロになっちゃうに違いない…
僕みたいな一般市民なんていちころなんだからね!
もっともっと好きになっちゃっても知らないんだからね!



心の中でそんな悪態をつき目を瞑りながら僕は手を箱へと突っ込んだ。
うぅ〜自信ないなぁ…
ランペルージさんが欲しいのが当たればいいけど…


「これだっ!」



意を決して引き抜いた紙切れは4つに折り畳まれている。僕はその紙を神妙な面持ちでランペルージさんに手渡した。双子ちゃんも真剣な様子でランペルージさんが紙を開けるのを息を飲んで待っている。


カササっ


「…2ば…ん…?」



「2番!?兄さんきっといいやつだよ!母さん!2番はどれ?」



弟くんもどれのことだか分からないらしく、遠くのキッチンにいるお母様に大声で尋ねる。ビンゴの景品はお母様担当だったようで、また遠くの方から1番大きいのよぉ〜と返ってきた。


「兄さんこれだって!」



弟くんが持ってきたそれは妹ちゃんの背丈ぐらいありそうな大きな紙包みだった。



「お兄様開けてみて下さい!」



あまりの大きさにみんな大興奮で、その紙包みを囲うようにして座る。ランペルージさんが丁寧に包装紙を剥がしていくと、中から現れたのは特大くまのぬいぐるみだったんだ。


「キャ〜可愛いですわ!」

妹ちゃんが歓声を挙げているとパタパタとお母様もキッチンから走ってきた。


「可愛いでしょ!それママも狙ってたのよ!」



「いいなぁ〜兄さん!」



2番と書いてあったけど事実上の1等ともいえるハイクオリティーのぬいぐるみに僕もとても驚いた。


でも

それよりも何よりもそのぬいぐるみを抱き締めながら微笑むランペルージさんの可愛さにノックアウトされそうになっていたんだ。








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