やっぱり愛しいスウィートハート(ルル誕)
さんっはいっ!



「ほんとに綺麗なお家だね。僕も一度でいいからこんな豪邸に住んでみたいよ。」

「あら、お上手ね。」

「本当ですよ!こんないいところに住めたら一生の贅沢です!」


あんなボロアパートじゃなくて…
いやまぁ今の生活も悪くないけどさ。やっぱり憧れはあるじゃん?


廊下の壁には様々な絵画が飾られていて、正に美術館のようだ。僕は長い廊下を歩きながら辺りを見渡し、一枚いくらなんだろうなんていかにも貧乏人らしい考えを廻らせていた。


「くる…るぎくん…が来て…くれたら…おれも…うれしい…」



っ!?


彼の言葉の意図するところが読み取れずにランペルージさんへと向き直る。当人は頬を染めながら、またしても嬉しそうな照れ臭そうなそんな様子でもじもじしていた。


また爆弾きたっ!!


どういう意味ですかっ!?
ちょっそれって僕と、その…ひとつ屋根の下で暮らしたいってこと!?


いやいや…きっと違う、僕も大分わかってきたぞ。ランペルージさんのことだからそんな深い意味はなくて、一緒にいられたら楽しいなぐらいの気持ちに違いない。それでも嬉しいけど…


ランペルージさんの一緒に住みたい発言に絶句していたのは僕だけじゃなかったらしく、隣にいた弟くんも表情をひきつらせていた。

「兄さんは人が家に来るの好きだもんね。前もナナリーの友達が来たときとても喜んでいたし。」


そうなんだ、じゃぁまた来てもいいのかな。家に人を呼ぶのがあまり好きじゃないって人も多いから、今日は来てよかったのか心配だったんだけど、喜んでくれてるなら僕も嬉しい。


ロロからしてみれば今の発言は兄さんはあなたじゃなくても喜ぶんだという攻撃のつもりだったが、スザクにはそんな遠回しな攻撃は当たらない、もちろん華麗にスルーだった。






「では、改めまして、兄さん誕生日おめでとう!!」


パンっパンパンっパン


天井に向けて次々にクラッカーが放たれる。中から飛び出した色とりどりの紙テープや紙吹雪が宙を舞った。


「おめでとうございますお兄様!」

「おめでとうルルーシュ。」

「おめでとう!ランペルージさん!」


4つもクラッカーを開けたせいで、僕たちが向かい合うテーブルの上には紙くずが散乱し、火薬の臭いと白い煙が視界を覆う。
その目隠しがとれれば、僕の目の前には満面の笑みを浮かべるランペルージさんの姿があった。



「みんな…ありが…とう…」


目尻に少しだけ涙を浮かべる彼を見ていると、僕までなんかうるうるきてしまって、いつのまにか涙目になってしまう。


テーブルに散らばっていたものをテキパキと片付けた後、大量の料理が運び込まれた。言うまでもないとは思うけれど、やっぱり超が十個ぐらいはつきそうな程豪華だ。そんなもう一生口にできそうにない料理が次から次へとやってきたため、テーブルの上は一瞬で埋め尽くされてしまった。


「今日はお祝いだから、枢木くんも遠慮なくいっぱい食べていってね。」


「はい!」


人数分用意されたピカピカの円皿を手渡され、僕は目の前の料理に目を輝かせる。でもランペルージさんが食べてからだよね。
食欲と理性の狭間でもんもんしながら、お腹がなるのを堪えていると救いの声が僕の耳に届いた。


「くる…るぎくん…おれが…とって…あげる…」


声の主は今日の主役、ランペルージさんだ。遠慮がちではあるものの、始終上機嫌な彼はきらっきらの笑顔で手を伸ばしてくる。


「兄さんは今日は何もしなくていいんだよ!枢木さんのは僕がとってあげるから。」


割って入ってきた弟くんは何故か必死の形相で、僕も彼の行為に甘えようとしていたことに申し訳なくなった。そうだよね、ランペルージさんを喜ばせるために来たんだもん!
そうだ!いいこと思いついた!


「僕がランペルージさんのをとってあげるよ!」


思いついたことを口にしてみたけど、ランペルージさんは首を縦に振ってはくれない。たまに頑固なところがあるんだよね。


お互い頑なになっているところへ解決策をくれたのはランペルージさんのお母様だった。


「じゃぁお互いに取り合うっていうのはどうかしら?そうすれば二人とも納得でしょ?」


「母さん!僕も兄さんにとってあげたいのに!」

「私も!」

「二人はその次ね。」


不満げな弟くんに続き、妹ちゃんも声を上げる。そんな二人を慣れたように宥めてみせた。流石はランペルージさんの母親だ。彼女はとても機転の利く人らしい。彼の頭のよさはお母さん似なのかな?


お母様の提案通り、僕らは取り皿を交換した。僕はランペルージさんのお皿にいろんな種類の料理をてんこ盛りにして彼に手渡す。返ってきた僕のお皿にはご馳走がセンスよく並べられていて、一層美味しそうに見えた。



「わぁー!すごく綺麗!ありがとう!」


「う…ん、くるる…ぎくん…も…ありがとう…」


互いに料理の盛られた皿を持ちながら頬を染める。なんか、ランペルージさんと一緒に暮らしているような気分。
はいあなた!ありがとうルルーシュ。みたいなね。
ふふふっ照れちゃうな。


「みんな準備できたわね?じゃぁ、手をあわせて。」
せ〜の!


「「いっただきまぁす!!」」







[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
無料HPエムペ!