30:こっそりとキスをした
ツナザン同盟30題に参加しました。
ザンザス好き、大好き!
頭の中身で散々言いまくったのにイザ言葉に出そうとすると上手く言えない。
だから貴方はちっとも信じてくれない。
素直じゃない貴方も大好きだけど、たまにとっても素直になる貴方はもっと好きなんだよ?
ぎゅっと抱きしめて、ほお擦りをして、珍しく耳元で素直な気持ちを上手く伝えられれば…ほら、貴方は真っ赤な顔になって。
本当に可愛い。
いとしいひと。
30:こっそりとキスをした
「…ザンザス、入るよ?」
借りてた資料を返しにっていう名目でヴァリアーの屋敷に入って来たのに、入口での大好きなザンザスの歓迎は無し。
ちょっと寂しいなー、なんて思いつつもザンザスだって忙しいんだからお出迎えは諦めよう、とか考える俺は成長したと思う。
通い慣れた道を通り、大好きなザンザスの執務室のドアの前に立った。
ノックをしても返事がない。
おかしいなぁ、いつもなら「入れ」とか「うるせぇ」とか怒鳴られるのに。
とりあえずドアノブを下ろすと、扉は簡単に開ける事が出来た。
無用心だよザンザス。貴方は暗殺部隊のボスなんだから!!
ん?…暗殺部隊のボスだから、いいのかな?
まぁいいや、入っちゃえ。
「ザンザス…?」
扉からこっそり顔を出す。(前に勝手に開けたらサスペンスドラマで凶器として使われそうな灰皿が飛んで来たから、その用心。)
普段、この時間ならザンザスは執務室の机に向かっているはずなのに。
大好きな大好きなその人は、いつもの場所に居なかった。
もしかして外出中…?
いや、そんな事ないよ、そんな予定聞いてない。
こっそりと部屋に足を踏み入れてみる。
ノックはしたよ、出てこないザンザスが悪いんだよ?と心の中で何度も繰り返した。
きょろきょろと辺りを見回すと、その巨体を俺専用になりかけてる大きなソファに投げ出しているザンザスを見つけた。
「どうしたの?」
声を掛けてみるが反応がない。
よく見ると、いつも俺を見てくれる真っ赤な目は閉じられていた。
口は半開きだし、胸は規則正しく上下してるし、足なんかソファの手摺りに掛けて…あぁ、ザンザス足長いなぁ、やっぱイタリア人だよなぁ…。
要するに、ザンザスは寝てた。俺が来ても起きないなんて爆睡もいいトコだ。
そういえば仕事がバタバタしてて一週間ろくに寝れなかったって言ってたっけ…。
寝不足の原因の一つに俺も入ってると思ったらちょっと悲しくなった。
報告書を机の上にそっと置く。(飛ばないように重りを置くことは最近覚えた。)
そしてザンザスのベッドから毛布を引っ張ってくる。ザンザスの毛布は凄く大きいから持って来るの大変なんだ。ちょっとは背伸びたはずなのにまだ引きずる。
ようやくソファの前までたどり着き、起こさないように気をつけながらザンザスの身体に毛布をそっと掛ける。
嫌がるから首までは覆わないようにするのがいい。首元を掠ると跳び起きちゃうから。
起こすかな?と思ったけど、ザンザスは相変わらず眠っていた。
よっぽど疲れてるのか、俺の前だからこんなに熟睡してるのか…後者だと信じたいなぁ。
「ザンザス。」
もう一度名前を呼ぶと、ぴくんと身体は動いたけど、目を開く事はなかった。
「好きだよ。大好き。」
面と向かって言えない言葉。
「愛してるよ、ザンザス。」
そっと近付いて、柔らかい唇にこっそりと俺のを重ねる。
跳び起きて殴られたら嫌だからとすぐに離れてザンザスの様子を伺えば、むず痒そうに眉を潜めたけど、また深い眠りに入ったみたいで。
「寝てる時ならちゃんと言えるのにね。」
苦笑しながらもう一度キスをした。
「ごめんね?俺もう行くよ。」
起きたら書類見てね、とメモを残して、起こさないようにそっと扉を閉めた。
そして今度は貴方が起きている時にしっかりと伝えよう。
勢いに任せないで、ちゃんと目を見て、はっきりと愛の言葉を。そう思った。
「…下手くそ…。」
背中越しに、ザンザスの声が聞こえた気がした。
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10年後なツナ視点のお話です。
10年経ってもうちのツナ様はヘタレが直りません。
皆様の素敵ツナザンを拝んでいると、こんな私のツナザンがお題のラストになっていいのだろうかとビクビクしております。
期日までに提出出来て安心しました(´Д`;)
080229:ぐすく
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