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「ユーリッ!!」

がばりと起き上がるとそこは見慣れた部屋だった。
汗で背中がぐっしょりと濡れている。
前髪も額に貼り付いて気持ちが悪い。

「…夢、か」

もう何度目になるだろう。
あの夢を見たのは。

「ユーリ…」

うつ向いて唇を噛み締め、なんとも情けない声で愛しい人の名前を呼んだ。
だけど呼びかけに返してくれる人はいない。

彼は海に拐われてしまった。


「どうして…っ!!」

どうしてあの時もっと早く追いかける事が出来なかったのか。
自分を殺したくなるほど怒りが湧いた。
治療などそっちのけにして直ぐにでも彼を追えば良かったと、後悔した。

海に落ちた彼を船で何度も何度も探したけど、
時間が経つにつれ胸に溢れてくるのは
不安と焦燥。


「ユーリ、ユーリユーリ…ッ!!」

ぎゅ、とシーツを握る手に力を込めた。



どうして?何故、ユーリ、僕を置いて。
嫌だ嫌だ嫌だ


いなく、なる?

誰が?ユーリが?


僕の前から?

そんなの、




…本当に?

「ユーリ…君に会いたい…」


いつもみたいに優しい声で、僕の名前を呼んでよ。
馬鹿だなって、呆れたように笑いながら僕の隣にいてよ。

話して、抱きしめて、キスをさせて。
はやく、はやく僕に君を。


「ユーリ…」






君は今何処に居る?









想う

(君の存在価値を思い知った)







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