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感じる全てを
二人ともバイトがなくて久しぶりに一緒に帰る放課後。
必然的に、空気は普段の相棒のものから恋人のものに変わる。

そっと手の甲を触れ合わせると、月森の方から指を絡ませてきた。
横目に盗み見た表情はいつもと同じ無表情だが、その耳がほんのりと赤くなっているのに「可愛い」と一言。


「何が」

「月森の全てが」

「…台詞がくさすぎる」


さすがガッカリ王子、などと言葉は辛辣だが繋いだ手を離そうとはしない。
幸せを噛み締めている俺の横で、「あ」と若干焦ったような声。
同時に振りほどかれる手に、何事かと月森の視線を辿ると前方から歩いてくる見知った姿。



「あれ、二人きりなんて珍しいんじゃない?」


片手を挙げて掴みどころのない笑顔で言う足立。
月森は軽く会釈を返した。


「今日は女の子たち二人は?」

「千枝と雪子は掃除当番だったので」

「なるほど。じゃあ久しぶりに"相棒"との親睦を深めてるってとこ?」

「まぁ、そんなところです」


ふわり、と愛想の良い笑みを見せる月森。
なんだか、イラっとした。
俺の前でだって滅多に笑ってくれないのに。


「あ、やば。もうこんな時間!急がないと堂島さんにどやされる。じゃね、二人とも気を付けて」

「足立さんも急ぎすぎて転ばないようにして下さいね」

「はは、注意するよ」


足立は月森の頭を一撫でしてヘラリと破顔し、足早に去って行った。
俺の気分を一気にクールダウンさせたまま。


「さ、俺たちも帰ろう。……陽介?」

「………月森、ちょっと」


ぐいっと強い力で腕を掴み、先に立って歩く。
後ろで月森が何か言っていたが無視して歩き続ける。

やがて何を言っても無駄だと判断したのか俺と同じく無言になった月森を連れ、行き着いたのは自宅。
自室に直行し、扉に鍵を掛ける。


「陽介…?……っ!」


どん、と胸の辺りを押して突き倒す。
後ろにあったベッドに倒れ込み、驚いているせいか動けずにいる月森に覆い被さる。

首筋にキスをしてきつめに吸い紅い華を付けていく。
ビクリとし、ようやく事態を把握したらしい月森の微力な抵抗を簡単に押さえ込んで半ば噛みつくように唇を合わせた。


「ん…、んぅ」


逃げまどう舌を捕まえて吸ったり、上顎を舌先でなぞったりしているうちに、月森の口端から唾液が流れる。
一旦解放してやり、それを舐めとると月森が息を整えながら俺の名前を呼んだ。


「陽介…なん、で」

「……嫌なのかよ?」


自分でも驚くほどに怒気を含んだ声だった。
月森の瞳に、僅かながら恐怖の色が浮かぶ。


「そ、そうじゃ、なくて…」

「なら、いいだろ」


シャツの上から乳首を探り当てつねるように刺激すると、痛かったのか顔を歪める月森。
構わずに指の腹でぐりぐりと押し潰していると、熱を帯びた吐息が漏れ始めた。


「ひぁ…あっ……い、たい」


ボタンを引き千切るようにシャツの前を開いて、痛いくらいの刺激を受けて真っ赤になった乳首をペロリと舐める。
舌先で突いたり形をなぞったりすると、月森の腰が跳ね始めた。


「は、…んっ……あぁっ」


それでもしつこく乳首だけをいじっていると、月森の手が伸ばされ俺の髪を掴んだ。


「よ、すけ…どう、して……?」


何に対しての疑問かは判別が出来なかったが、それならば都合よく解釈しておこうと月森と目を合わせた。
涙の溜った瞳が不安げに俺を見上げる。


「…お前が他の奴に笑い掛けたり、触られたりするから」

「……?」

「孝介は俺のものなのに」


鎖骨の付け根辺りに唇を寄せて、所有印を残す。
と、頭上からどこか嬉しそうに笑う声が。


「孝介?」

「陽介、足立さんに嫉妬したのか?」

「………悪いかよ」


髪を掴んでいた手が背中に回され、体が密着した。
月森の素肌が気持良い。


「馬鹿なこと考えるなよ。俺が好きなのは…陽介だけだから」


恥ずかしいのかやや語尾を小さくしながら言う月森。
俺はまた一言「可愛い」。


「…可愛いのはどっちだよ」


額をくっつけて笑いあう。
なんか、本当に馬鹿だったかもしれないと思えてきた。


「孝介、…その、続きして、いいか?」

「……この状態で聞くのか?」


先ほどからずっと月森の足に当たっていた俺の股間を指して溜め息をつく。


「それに…俺も、陽介が欲しい」


俺の手を掴んだ月森は、スラックス越しにでも分かるほどに膨らんだものに導く。
けれどすぐに顔を真っ赤にして横を向き、目を伏せてしまう。

その様子に喉が渇くほどの欲情を覚え、急く気持ちを抑えながらベルトを外し下着ごと衣服を取り払った。
露わになったペニスは既に透明な先走りを溢れさせている。
それを躊躇うことなく口に含むと、鈴口を舌で辿り吸い上げた。


「ひぁっ…んぅ ぁっ」


裏筋を舐め袋を揉み込めば、堪らないといった様子で背中を反らす。
甘い嬌声に促されるまま、じゅぽじゅぽと音が立つほどに頭を上下させて追い上げてやると、ビクンと体を痙攣させて白濁の欲を放った。

吐き出されたものを全て飲み込み、尿道に残る分も吸い出した。


「ぁ…ふぁ、……ん」


虚ろな目でぼんやりと俺をみる月森の頬に触れるだけのキスを落とし、大丈夫かと尋ねる。
こくりと頷くのを確認し、後孔につぷんと指を入れた。


「あ、あぁっ……んっ はぁ…」


くいと指を曲げて見つけた前立腺を緩く撫でていると、物足りなくなったのか月森はぎゅっとしがみついてきた。
それを合図に指を二本、三本と増やしていく。


「ひぁっ…ん…よ、うすけ」

「孝介、もう平気か…?」


そろそろ俺も我慢の限界だったのでそう確認すると、月森は頷くかわりに足を絡めてきた。
物欲しそうにひくつく月森の後孔に、取り出した自身をぴたりと宛てがう。
そのままゆっくりと腰を進めると簡単に半分ほどを飲み込んだ。


「ああっ、ん は……っ」

「孝介、背中ちゃんと掴まってろよ」


俺もあんま余裕ないから、と耳元で囁くと月森は小さく頷いて回した腕の力を強くした。
それを確認し、一気に突き上げて全てを埋め込んだ。


「ひあぁっ!…あっ ん…っ」


しっかりと密着しているせいか動きはそこまで激しくないものの、いつもより深い場所で月森が感じているらしいことが分かる。
締め付けが徐々に強く規則的になる。


「はっ ぁあっ…も、出る!ふぁっ あぁぁ……!」


びゅくと二度目の絶頂をはぜさせた月森。
その締め付けで俺も月森の中に放つ。


「……中にはやめろって、いつも言ってるのに」

「あ、ごめ……」


慌てて処理しようとした俺の手を制し、月森は笑う。
足立に見せたのが本当に愛想笑いにしか見えないくらい、優しく。


「いいよ。今日だけ特別」



その笑顔も体温も、感じる全てを
(俺だけのものにしたいなんて不可能だと分かっているけど)
(せめて今日だけは、)


あきゅろす。
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