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白い日の通学路で
(※"still"の続編っぽいですが単体でも読めます)



通学路の途中。
登校するにはまだ少し早い時間なためか、人通りはまばらだ。

そんな時間にここで月森を待っているのは、張り切って、というよりは昨夜からそわそわしてしまって眠れなかったという方が正しい。
ただバレンタインのお返しをするだけなのだが。


(だって俺ら、もうただの友達じゃない…んだよな)


あのバレンタインの日に気持ちを伝えて。
月森も同じ想いでいてくれたんだと分かって。

改めて考えると嬉しいとか恥ずかしいとかもあるが、実際は大して関係に変化はない。
そりゃたまにはキスくらいすることもあるが。


「…陽介?」

「よ、よぅ、月森」


背後から突然聞こえた想像の中と同じ声に、挙動不審気味になりながら返事をする。
そんな俺の様子に月森は首を傾げたが、すぐにふわりと微笑んだ。


「今日は早いな。どうかしたのか?」

「……え?あ、その…これ!」


その表情に見惚れて反応が遅れたとは気付かれたくなくて、慌てて鞄から目的のものを取り出す。
半ば押し付けるように包みを渡すと、勢いに圧されて受け取った月森が今度こそ頭上にクエスチョンマークを浮かべて俺を見た。


「これ…俺に?」

「今日、ホワイトデーだろ。だからお返しっていうか…既製品だけどさ」

「あぁ、別に気にしなくていいのに」


ありがとう、と嬉しそうに言う月森。
そんな顔、反則だ。


(俺以外にもらっても、同じように笑うのか)


喉元まで出掛かった言葉を飲み込んだら、意識せずにおかしな表情をしてしまっていたらしい。
月森は心配そうに顔を覗き込んできた。


「陽介?」

「ごめん、何でもねーよ。早く学校行こうぜ」


努めて明るく言ったつもりだが、どうやらこいつには全てお見通しなようで。
先に立って歩き出した俺の手を握ってきた。


「なっ、月森…」

「言いたいことあるなら言えよ。…恋人、なんだから」


真剣な表情の月森に誤魔化してしまうことも出来ず、何と応えようか悩んでしまう。


「いや、ほら…。お前、バレンタインのとき俺以外にも渡してただろ?」

「まぁ、いくつかは」


いくつか、というと語弊があるが、少なくとも特別捜査隊メンバーには全員渡していたはずだ。
あと、部活で知り合った奴ら何人かとバイト先でお世話になった人たち、…と、そう考えると結構な数になるんじゃないかと思う。

全員が全員お返しをしてくる訳じゃないにしろ、やはりこちらとしては複雑な心境なわけで。
それを上手くまとまらないながら言葉にすると、月森は少し呆れたように言った。


「そんなこと気にしてたのか?」

「わ、悪かったな。どうせ俺は小さい奴だよ」

「あはは、たしかに」


そこ笑って肯定しちゃうか?、と肩を落として聞くと、ごめん、とそれほど悪いとは思っていなさそうな月森。


「けど、お返しもらったのは陽介が最初だよ」

「マジ?!」

「うん、まだ菜々子にももらってない」


早く来たのには実はそれを狙っていたという理由もあったから、正直かなり嬉しかった。


「そっか…そっかー!」

「喜びすぎ」


月森は苦笑しながらも、俺が渡した包みを大事そうに鞄にしまった。
繋いだ手をもう一度強く握り直して。


「陽介」

「ん?」

「これからも、俺が好きなのはお前だけだから」

「……!」



朝の通学路、手を繋いで
(その言葉をもらってしまった
ら)
(お返しをした意味がないじゃないか)

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何となしに主花くさ…(ry


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