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短篇集
02


次々と答案用紙が返却されていく。
受け取った途端顔色を悪くする者、それを横目に笑顔で堂々と受け取る者。私は明らかに前者だろう。

気付けばもうすぐ私の名前が呼ばれる。



…――!…――!…霜月雪里!!


席から急いで立ち上がり受け取りに行く。返却される瞬間、先生の顔が少し引き攣ったような気がした。
この瞬間が嫌なんだよね。
引き攣ったのは、きっと私の点数が平均的にも著しく低かったせいに違いない。ごめんね、先生…


「hey!雪里…点数はどうだったんだよ」

予想通り笑顔で答案を受け取った者の一人である政宗に席に着いた途端に小声で話掛けられた。

「……政宗、結果が散々だと分かってるくせにわざわざ聞くの?」
「あぁ、そりゃ俺には予想がついてるさ。
まぁ確認だ。確認」

そう意地悪そうな笑顔を向けられたら言いたくなるわけがないじゃん…
しかし幼なじみの仲。加えて自業自得。なので隠すなんてことはしない。堂々と答案を掲げて見せる。
どうせ政宗にも予想はついてるだろうし。


「再テ・ス・ト☆」


ちょっと可愛く言ってみた。


「………またか…」
「うん」
「お前は成長しないな。
……誰かが面倒みてやらなきゃなダメか…」

頭を抱えながらも悪戯を思い付いたかのような顔をしている政宗は一体何を考えているのか。幼い頃からずっと一緒に居るのにコイツの考える事はどうにも分からない。
ただ私が鈍いだけなのか。そうじゃないのか。寂しいような。そうじゃないような。

「え〜!嫌だよ、そんなの。うちのお母さんにはそんな風に言わないでよ?本当に英語専門の家庭教師とか付けられちゃうから!!それでなくとも最近本気で考えてるみたいだし…」
「…へぇ。英語の家庭教師か」
「…何?政宗?どうしたの?」
「いや、別に。
それより授業は良く聞かねぇと。再テストだろ?なぁ、雪里さん?」
「くっ!こいつに言うんじゃなかった!!」



こうして私の再テストは決定した。

――お母様に怒られる……トホホ……



  


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あきゅろす。
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