Cheeks goaf お花見(関受) 「乾杯-----!!」 4月。 満開の桜のしたは缶ビールを片手にわいわいと騒ぐ人々で埋まっていた。 その一角に邪な理由で場所をとった堀内賢雄がやや不貞腐れた表情でビールに口をつけていた。 そうしてポツリと呟いた。 「なんでお前らまで来るんだよ………」 ****** 「花見をしよう」と、そう言い出したのは堀内賢雄、彼だった。 言われた関俊彦は表情を一転させ笑顔で「いいですね〜!」と同意した。 これは良いチャンスだ、と賢雄自ら花見の場所とりに赴き、数時間の睡眠との格闘ののち花見には大変良い席をとることができたのだ。 しかし、 いざ俊彦をまってみれば。 「賢雄さぁ-ん!」 笑いながら駆け寄る俊彦に片手を上げ、しかしその後ろに続く人間達に賢雄は目を疑った。 「「「こんばんは」」」 俊彦に続いて現れたのは、速水奨、井上和彦、森久保翔太郎だった。 「ここまで来るのにお会いしたので連れてきちゃいました!」 はきはき言う俊彦に賢雄は苦笑した。 二人でお花見をするつもりだったのだからまさかこんな人数になるとは予想外だ。 「お酒足りないと思って持ってきたよ」 「僕はつまみを」 「俺は甘いものを」 三人にずいっと出されたビールやらつまみやらを渋い顔で受けとり 「お前ら…本当にいいタイミングだな」 と賢雄は呟いた。 そうしてやんややんやと花見が始まった。 俊彦はブルーシートにどっかりと腰をかけ、 「ここから見る桜は一段と綺麗ですね〜〜!」 と笑顔で言った。 「そりゃぁお前、俺が頑張って場所とりしたからな!」 ビールに口をつけなかばやけぎみでいう賢雄に俊彦は眉を上げた。 「え!!場所とりって賢雄さんが…!!」 「ん?あぁ」 「本当ですか!!僕はてっきり後輩に場所とらせてたとかかと思ってました!凄いいい場所じゃないですかぁ〜〜!」 「そ・・そうだろう!」 俊彦が喜んだ顔に賢雄のふてくされた気持ちはどこへやら。 すっかり機嫌も治った賢雄は俊彦にめんじて“その他三名”の同席を爽やかに受け入れたのであった。 *** 数時間後----- 「関ちゃん、できあがってるね…」 「ぜ〜〜〜んぜん!」 でろんでろんに酔っぱらった俊彦をみて和彦は微笑みながらその肩をとろうとした。 が、その手はスカされ、俊彦の肩は奨の腕の中にあった。 「俊、そんなに飲んで大丈夫?」 「なぁにいってんですかぁ!賢雄さんがこぉんなにいい席とってくれたんですからぁ〜」 飲まないと損!損!、と奨の腕をすりぬけて俊彦は上機嫌だ。 「つか関さん…一体何杯飲んだんスか!」 青いビニールシートに広がる空き瓶の数が多いことに気づかないわけもなく、祥太郎はひぃふぅみぃ…とビールの数を数える。 「しょうたろ-!ぜんぜん呑んでないだろ-!!飲め飲めぇ!」 俊彦は言うなりビールを祥太郎の頭からガバガバとついだ。 「ぶぱっ、ちょ、関さんやめて下さいよ…!」 ビールまみれになった祥太郎は濡れ鼠のようでそれがおかしくて俊彦は腹を抱えて笑った。 もうあとにはひけない酔っぱらいだ。 祥太郎は着ていた上着を脱いで地面の上で絞ることにした。 和彦と奨は俊彦が散らかしたビールをつぎつぎと片し、まとめていった。 賢雄はといえば、赤い顔をして誰もいないところに向かってくどくどと何か文句をいっているような、それはまるで一人芝居のようにも見えた。 「誰に話しかけてんですかぁ〜」 どっかりと賢雄にのしかかり、俊彦は甘ったれた声をなげつける。 賢雄は赤い顔をして俊彦を振り向くと、そのままちゅぅ、と頬にキスをした。 瞬間、俊彦は3人の男によってそこからひきはがされた。 「何すんの…!」 「何してんスか!」 「何やってるの!」 和彦、祥太郎、奨の三人は揃いも揃って眉間にしわを寄せた。 俊彦はといえば、ふにゃりと笑って 「飲め〜ぇ!」と先ほどのことが無かったようなテンションである。 やれやれである。 三人は酔っぱらった賢雄を一瞥すると、タイミングよく足蹴にした。 ******** それから…翌日 賢雄は「寒い…」と呟いて目を覚ました。 あたりは薄暗く、ビール缶だけは綺麗に掃除されていた。 青いビニールシートには、賢雄一人が大の字で寝ていたらしく他に人は見当たらなかった。 ぼやぁ〜とする感覚のなか、賢雄は唇を右手でなぞった。 「くっそ-!夢かぁ----ッ!」 叫んで、賢雄はまた眠りについたのであった。 一方、俊彦はといえば… 「もう飲めましぇえ〜〜〜ん」 「これ以上飲んだら急性アルコール中毒になっちゃうよ…」 「関さんは飲む度合い考えるべきなんスよ…!!」 「まぁ…俊が楽しく飲めたならよかったよ」 「ていうか関ちゃん、ちょっと太った?」 俊彦は、和彦の背にのりその両脇に奨と祥太が並び帰路を歩いていた。 もにょもにょと口を動かし時々叫ぶ俊彦を背に和彦は口を開いた。 「さて、」 「ここは公平に」 「そうっスね…」 3人が互いに目配せしあい、夜中のジャンケン大会が始まった。 俊彦がどこで目覚めるかは、そのジャンケン次第…― “酒は呑んでものまれるな” そうして俊彦は、しみじみとその言葉の意味をしることになるのであった。 おしまい。 ************ 100426完成 お疲れさまでした! 花見話がかきたかったんですが上手くいったようでそうでもないきがします! が、かいていて楽しかったです。 さっぱりあっさり終わりにするつもりが当初の予定より長くなってしまうくらい楽しかったです。 ほんとは的屋とかもあいまぜたかったんですが…それはまた違う機会にネタとしてかきたいと思います。 私がすきなCp話ですいませんでしたと、お粗末様でしたv [*前へ][次へ#] |