星屑の在り方
(Fate/生徒会)賽子の確率の問題の理不尽さよ
「あ、俺英語の成績上がってる、良かった」
「衛宮の場合、下がったら藤村先生からの激励が飛ぶであろうな」
「止めろよな一成、そういう洒落にならない洒落。藤ねぇ……藤村先生の場合、激励っていうか大目玉なんだからな」
「む、それはすまん。不快に思ったなら許してくれ」
「別に怒っちゃいないさ、本当の事だしな」
「────────失礼させて」
「お、ザビ子おはよう…………ま、おはようって時間じゃないけど、今日会うのはこれが初めてだから良いよな。
それよりザビ子、お前テストどうだった?」
「し、シロウ……た、大変だぁ……」
「────お前、まさか」
「……いや、英語はぶっちゃけ士郎より成績良いよ、満点だし私ホラ」
「嫌味だな。じゃ、なにが悪かったんだ?」
「……………………数学だよ、すーがく」
「ああ、お前は理数系が駄目だったなザビ子。それこそ間桐が腹を抱えて笑うくらい」
「ああ、あれか……。慎二が純粋に笑うの久々に見たぞ、俺」
「ふ、二人してなんだよもうチクショー! ちょっと勉強出来るからってムカつくー!!
というか人の答案用紙見て腹抱えて笑う慎二も慎二だけどね!?」
「ふむ、生憎だかなザビ子、テストというのは日頃どれだけ勉学に勤んだ結果が出るものだ、今回の結果は常日頃のお前の成果だぞ」
「士郎ぉ、一成が苛めるー!」
「いや、今のは正論だろ」
「んな……っ! こうなったら、藤村先────」
「待て、落ち着け! 俺が悪かった!」
「もがふが」
「ここは生徒会室だから叫んでも職員室にまでは聞こえないと思うが……。
それとな衛宮、鼻と口を一緒に押さえると人間死ぬぞ。寺の息子として友人が殺人者になるのは見過ごせぬ。ザビ子の顔が真っ赤になっている」
「ばか、藤ねぇなら聞こえるんだよ、噂をすれは影って言うだろ!?
────ってうわ! 悪いザビ子、その、大丈夫か……?」
「ワりとっ…………一成は成績が良いからそんな悠長な事言ってられるんだわ〜」
「ふむ。と、いうと────」
「うん。私だって勉強したよ、物凄く。バイト中も勉強したし、店長に協力してもらって休みも多くしてもらったし」
「へぇ。因みに、数学何点だったんだ? そんなに頑張ったんだもんな、それなりに良い筈だよな」
「…………………………………………………………………………………………………………………………………………28点」
「…………」
「…………」
「…………ちょっと、なんか言ってよ二人とも。逆に悲しいじゃない」
「なあ一成、今回の平均点って何点だっけ……?」
「…………確か、70点だったか」
「にゅじゅ…………ごめんなザビ子、とりあえず俺で分かる範囲内だったら教えるよ」
「ホント!? ありがと士郎! やっぱ持つべきものは親友だね!」
「はいはい、ほら其処に座れ、ノートと教科書とシャーペン出しな」
「はーい。範囲なんだけどね、士郎、確率のところ分かる?」
「確率か……面倒臭いんだよなぁ、あれ。まあ分からないでもないが……説明が上手くないから理解出来ないかもしれないから覚悟しろよ」
「はいっ、頑張ります!」
「よしよし、いい返事だ。まずは簡単にサイコロの確率をやるぞ。
一個のサイコロを投げる時、2以下の目が出る確率は何分の何だか分かるか?」
「…………え〜、と」
「まず、2以下って事は、2か1が出る確率って事だろ? サイコロは6しかないから、その内の2以下って事は?」
「…………ろくぶんの、に?」
「せーかい、でも偶数だから約分出来るだろ? だから答えは?」
「……………………さんぶんの、いち……?」
「正解。基本は出来てるじゃないか、ザビ子」
「いや、だが何故か全体的に危うい感じがしないでもないぞ衛宮」
「そうか? 問題が解ける分には支障はない気がするが……」
「……まあ、衛宮がそう思うなら俺はなにも言うまい。水を差して悪かった、続けてくれ」
「???? まあいいか。じゃ、次からちょっと難しくなるぞ。
赤と白の二個のサイコロを同時に投げる時、目の和が5になる確率は?」
「和って……足し算の答えだよね」
「まずそこからか、ザビ子」
「一成うっさい。えと…………1と4、2と3、3と2、4、1……二つあるから6×6=36の……約分して、きゅーぶんのいち?」
「当たりっ! なんだ、出来てるじゃないか。なんでこれで28点しか取れないんだ?」
「…………そもそもさ、今回のテストに『サイコロを六回投げた時に5が出る確率』って出たじゃないですか。」
「あったな、そんな問題も」
「でね、私テスト前日に実際にサイコロを六回投げたのよ、そしたら六回中六回とも【5】が出たんだよ、これはいったいどーゆー事?」
「…………物凄い勝負運の強さだな」
「そう思うでしょ? 結局ね、サイコロを投げる人の勝負運が左右すると思うんだ、だからこんなものを求めても意味がないと答案用紙に書いて提出した」
「マジで!? お前、それは凄い……ばか?」
「だって、それを藤村先生に言ったら────
『ザビ子ちゃんもそう思う!? 良かった、学生の頃ねぇ私もおんなじ事思ってたんだよぉ〜、仲間発見ね! あんなのはねぇ計算するだけ無駄なのだっ!』
────って言って喜んでた」
「藤ねぇぇええぇえ!!!! 教育者として問題あるぞ今の発言んんん!!!」
6/6の確率。
親身になって勉強を教えてくれる先生は大切だと思います、ガチで。
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