星屑の煌めき




(復活/黒曜)我が名を呼べ




「────騎士王。英雄王。征服王。
うーん、良いね格好いい! なんかかこう…漢字の異名が付いてると格好いいよねぇ。私も欲しいなぁ」

「……あの、ザビ子」

「やっぱさぁ私は思う訳よ、第四次の時はセイバーも偏屈者なんだよ、だけどそこがまた可愛いよねぇ。
マジ嫁に欲しい。嫁に…………来いセイバーァァアア!」

「いやそんな左手を翳して叫んでもセイバーは来ませんし、そもそも貴方には令呪がないですし、そもそもここは冬木じゃないですしね、ここは黒曜です、貴女はセイバーと契約を交してもいないじゃないですか」

「一から十まで全て丁寧に突っ込まれた! でもね、左手の甲の部分に令呪描いたんだよっ、ホラ見てみ犬!?」

「うわ、ご丁寧に赤いマジックペンで描いてあるびょん」

「……バカ?」

「いけませんよ千種、そんな本当の事を言っては! 本音は言わずにやんわりとオブラートに包むのが日本人の美徳なんですから!」

「だってぇ、マジザビ子さんがバカみたいな事言うんれすもん」

「てめ、犬……ブッ飛ばすぞ」

「ぎゃんっ!!」

「……やめてあげて下さいザビ子さん。
いくらなんでも釘バットで犬の尻を思い切りフルスイングで打つのは流石にやり過ぎ…」

「千種、人間はね、躾の為には時に非情にならなくてはならぬのだよ…。
そしてそれが今。という訳で、君も退かないとこのの獲物の餌食になるよ千種」

「……どうぞ」

「てめっ柿ピー! 裏切んのかよ! ひっでーなダ眼鏡!」

「……思う存分殴ってやって下さいザビ子さん」

「よ〜し、良い子だなぁ千種ァ。
────“約束されたエクス”」

「……ザビ子さんが釘バットを高く振り上げた……」

「“勝利の剣カリバー────!!”」

「……そしてそのまま犬の尻めがけて勢い良く振り下ろされる。バットは勢いを殺す事なく振り下ろされたから……」

「ギャァァァァアァアァァアァアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

「……痛さは半端ない……と思う」

「思う所か物凄く痛いんですよ千種。犬のあの断末魔の叫びと表情から察してあげなさい」

「ふぃー、宝具使ったら魔力が事切れた〜。千種、なんかお腹空かない?」

「……はい、時刻は既にお昼ですからね……すぐに昼食を作ります」

「お願いしまーす。さってと。ねェ犬、大丈夫?」

「…………これで大丈夫に見えたら貴女の目は節穴ですよザビ子」

「もう、だらしがないなー。ケツバット喰らった位でノビてる様じゃ並森を奇襲なんか出来ないよ?」

「あの、そのバットただのバットじゃないんですよ?
釘バットなんですよ? 力一杯殴られたら死ぬ代物ですよ?」

「…………」

「勇者ザビ子は犬に話し掛けた。
だが、返事がない、ただの屍の様だ」

「────勝手に、殺す、なびょん……!!」

「あ、生き返った!? 私まだザオラル唱えてないよ!」

「生き返らす気ないれすねソレ、然もザオラルの方!? 成功率50%じゃねぇかびょん!!
せめてザオリクにして欲しいびょん!」

「突っ込むべき所は其処ですか、犬」

「分かった、せめてハッスルダンスにしといてあげる! はぁー……あっそれ、ハッスルハッスル〜♪」

「うわ、スッゲーザビ子さん、完璧にハッスルダンスを踊ってるびょん!」

「フン、私にかかれば造作もない。あれ、私の釘バットは?」

「物騒なんで捨てました、千種が」

「ふぅん、まあいいか。また作るし、今度は鉄バットにしよう……名前はエアだ!」

「良い加減小説の話から離れて下さい。そういえば冒頭でなんか言ってましたよね」

「え? ……ああ、うん言ったね。二つ名が欲しい訳よ私も」

「だったら俺も欲しーれす!」

「犬はもうあるじゃん。“狂犬病”って立派な……」

「それこの間ザビ子さんが俺に悪口で言ったヤツじゃないれすか!」

「アッハハ、まだ覚えてたの犬ちゃん」

「忘れる訳ねーれす! 俺、そういうの根に持つタイプなんれ!」

「意外ですね、犬ならすぐに忘れると思ってました」

「私も。ぶっちゃけんな小話してる場合ではない! 誰か、私に格好いい二つ名をくれ! 出来れば漢字で」

「もう面倒臭いので“我侭王”とかで良いんじゃないですか」

「起きろ、“エア”」

「すみませんでした冗談ですよ軽いジャブです真面目に考えます」

「“悲運の乙女”ってジャンヌダルクにぴったりだよね」

「そうれすねぇ、可哀想な話れすもんねジャンヌダルクって」

「僕の謝罪はまるっと無視ですか」

「岩窟王……こんなタイトルの漫画見たな。偏屈王……ブッ潰すぞ」

「……もういっその事“創聖王”で良いんじゃないでしょうか……パスタ出来ましたよ」

「お、良いね、なんか協会に崇められてるどっかの偉い人みたいだけど…格好良いね。
あ、わぁいパスタだー! 然も私の大好物のタラコパスタ、いただきまーす」

「……はい、フォークです」

「有り難う千種! 本気でウチに嫁に来ない?」

「……丁重にお断りします、家事とかめんどいし」

「まず第一に男子は嫁になれませんよ」

「なれふおー? らいはいへ、おーへーはんほへっほんはみほめられはんらはら」

「口に食べ物を詰め込みながら喋らないで下さいザビ子。なにを言ってるのかさっぱり解りません」

「ん。…………っ、んご!」

「飲み込み方きったねーれす。もっと落ち着いて食べれないんれすかザビ子さん」

「……そういう犬は食べ溢しが酷いよ」

「あれだよ、同性婚が認められてる国があるんだから、男だって嫁になれるよって言いたかった」

「要らん情報有り難うございますザビ子」











































ゆるゆるの僕らの日常はこんなもん。
あれ、僕達って逃亡犯なんですよね?
なんでこんなにもゆるいんでしょうか。









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