星屑の煌めき
(銀魂/銀八)混沌なる感情に歪な愛情
「────っ、銀八先生?」
「んお? なんだ。ザビ子か」
「休日にばったり奇遇ですね。銀八先生お買い物ですか?」
「んー、まあそんなトコだな」
「めっずらし。銀八先生基本的に引き籠もってそうなのに」
「おめーの俺に対するイメージどんなん?! 先生だって出掛けらァ!!」
「いや、銀八先生の姿を捉えた瞬間、持ってたスタバの抹茶カフェラテこぼしかけましたもん。『あれめっちゃなんか銀八先生に見えるけど幻覚?』って」
「そんな? そんなに俺は家にずっと居るような感じに映ってんのお前の目には?」
「銀八先生っていうか、先生っていう職業にそんなイメージ湧いてます。でも案外違うんですね、意外でした」
「そぉか。おめーの凝り固まった偏見払拭出来てなによりだぁな、俺も」
「……うん、わりと銀八先生。外で見るとちゃんと『男の人』なんですね……」
「は? なにをいきなり」
「いや……私服見慣れないから、普通に、なんていうか、ほら、分かりません?」
「いや分かんねぇよ、言語化しろよ」
「現国の先生なんだから筆者の気持ちくみ取ってくださいよ!」
「分かるかお前の気持ちなんて。ほんでお前の現国の点数悪いの忘れてたわ」
「私は感性で生きてるので」
「現代日本に適応しよう、じゃないとこの先大変だぞ〜」
「私はこの先フィーチャリング? フィーリング? で生きてきます」
「横文字も完璧に言えねぇようなザビ子にはこの先の就職キツいんでねぇかな。あれ、俺のクラスってこんなバカしかいないんだっけ? いねーんだわ、知ってた」
「銀八先生それは私の事明確に馬鹿にしてますよね? 訴えますよ、スタバの新作奢ってくれたら許しますけど然るべき場所に訴えて勝ちますよ」
「おーこえ。最近の女子高生はおっそしぃな、御縁チョコやっから落ち着け」
「なっつ。私これ滅茶好きでしたわ。銀八先生はきょうは買い物に来たんですか?」
「そぉ。今日土曜発売だからジャンプ買うついでに酒と飯買いに来たらおめーにとっ捕まって困ってるトコ」
「なんでそんなヘラヘラ笑いながら人の事邪険に扱えるんですかねぇ? まるで私が災難みたいにいいくさりよって」
「学校ねぇ日に教え子に会ったら否応がでも先生モードになっから疲れるだろ、邪険に扱いたくもならぁ」
「先生が平日に先生モードになってる所見たことないです」
「お前ほんと言うよな」
「銀八先生、なんか今日はあしらい方が雑ですね。学校だともっと懇切丁寧に雑にあしらうのに今日は死ぬ程雑にあしらいますね?」
「せっかく休みなのに疲れる生徒に会ったらこうなんめぇよ、仕方ねぇ事だ」
「愛想笑いも雑です、もっと博愛の精神で雑にあしらって下さいよいつもみたいに」
「お前なんで今日に限ってそんなグイグイ来るの怖い」
「だって銀八先生が雑に扱うから、問いつめたくなりました。いつもの余裕はどこ行ったんですか」
「お前ね。俺だって教師と言えど人間なのヒューマンなの分かるぅ? たまには解放されたいっつー俺の些細な幸せなんと心得てんの?」
「それ平にごめんやで。でもたまにはこういうのも有りっちゃありでしょう」
「ねぇよ。俺もう疲れたから酒飲みたい、また明後日学校でなザビ子」
「えー、もっとなんかこう、適当なあしらい方ありますでしょう!? なにそのあしらい方!!」
「あしらわれる事自体は良いのか」
「銀八先生のあしらい方すっごい好きだから。あっ、銀八先生私の私服どうですか!」
「ぉお、おめーらは自由に生きてるよな羨ましいわ。────私服なぁ、スカートの丈が短過ぎるのでもう少し慎ましさを持ってはどうでしょう」
「銀八先生的にはこういう丈はアウトですか?」
「セウトかな」
「現国の先生がネットスラング造語使っていいんですか?!」
「いんだよ俺は。つーかほら、おめーも買い物あんだろ、さっさといけよホラ」
「先生、せめて可愛いか可愛くないで言ったらどうですか!?」
「はいはいかわいいよ」
「雑ゥ!!」
「疲れてんだよ察せよザビ子」
「ザビ子は構って欲しそうに銀八先生を見上げている、構ってあげますか?」
「いいえ。ほらさっさと買い物戻れぇ」
「ぴえぇ、見たことナイ愛想笑いであしらわれたぁ!!」
どうしてそんなに冷たいのかしら?
ねえどうしてそんなに余所余所しいの?
いつもは見られない、今日の先生。
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