星屑の煌めき
(銀魂/銀八)恋へと移ろう土曜日
月曜日→火曜日→水曜日→木曜日→金曜日
「服装も大丈夫。化粧も可愛く出来た。髪型も完璧……よし、あとはインターホン鳴らすだけ……いやその前にちょっとだけ練習しとかなきゃ。
────ぉ、お早う御座います。絶好のデート日和ですね銀八先生……よし、これで行くか……。
よぉし、押すぞー……、インターホン鳴らすぞー……押すぞー……!!」
「おう。おはようさん、ザビ子」
「ひっ……!! ぎ、銀八先生お早う御座いますっ!!」
「おうおう、朝から元気だな若者よ〜。そんで時間ピッタリの行動だな、お前ほんと案外几帳面だよな」
「そ、そりゃ勿論です。五分前行動が私のモットーですから……それにしても、思いの外早く支度できていたんですね、先生の方は。てっきりまだ夢の中かと」
「馬鹿言うな、俺はデートの時は五分前行動を心掛けるような律儀な男だからなぁ」
「へえ、意外です。先生はもうちょっと時間にだらしなくてルーズな人だと思ってたんで。
それでは参りましょうか。とりあえずベタに八守川シーワールドに行く予定です」
「おーおー、ベタなデートコースだな。まあ失敗しないチョイスではあるな、いい選択だぞザビ子〜」
「……その口振りですと、先生ご自身もデートコースに使った事があるようですね?」
「…………」
「────なるほど。分かりました。ではその時のデートより楽しいものにして差し上げます、覚悟しておいてください」
◇ ◇ ◇
「────すげぇな、俺リムジンなんて初めて乗ったわ……」
「そうですか? ならそれもまた楽しい記憶として脳内に記録してください。まあでも私も流石にリムジンはやり過ぎたなぁって、感じありますけどね。
折角の銀八先生との初デートなんですから、張り切って用意しました」
「あー、いつになく張り切ってるなぁとは思ってたけどよ、そんなに今日楽しみにしてたのかザビ子」
「勿論じゃないですか。入念なリサーチに加え犯しやすい初歩的なミスをシミュレーションし完璧なデートプランを立てたんですからっ。
あと、誰かの為になにかを用意するっていうのが思いの外楽しかったっていうのもありますけど、ね」
「っ……そーかよ。んじゃま、その完璧なデートプランに俺は乗っかるだけで良いんだな? 楽出来て助かるー」
「なぁに寝惚けた事言ってんですか銀八先生。デートっていうのは二人で楽しむものじゃないんですか?
私が立てた計画も、銀八先生がつまらなきゃ意味ないんですから、二人で一緒に考えて回りましょう」
「なんか、わりと色々考えてんだなお前。最初の頃のイメージとだいぶ変わってきた」
「ふふ、そのイメージをぶっ壊した本人が何をしゃあしゃあと?」
「っは、それもそーだな。さて、じゃあベタに水族館グルって適当に見て回るか」
「待って下さい。水族館の催し事のタイムテーブルを書いてきたんで適当には回れないです。
現在時刻九時、このあと九時半からペンギンの餌やり体験とペンギンレースがあり、そのあと十時からはイルカショー、十一時には一番大きな水槽でのイルミネーションがあります、すべてを見たいので適当に回る事なんて出来ません」
「さっき二人で考えて回るって言ったのは誰だっけな?!」
◇ ◇ ◇
「もうすっかり夕方ですね。全部見て回ろうと思ったんだけど、わりと無理でしたね」
「そらな、お前がタイムテーブル厳守すっからだろ……。時間に追われた一日だったぞ今日は」
「ぁ、そうでしたね……むう、わりと水族館デートっていうのは奥が深いんですね。
今日のこの反省を明日に活かしたいと思います。
最後に展望デッキに来たわけなんですが、ここからの夕陽がデートの締めに良いと聞いたのです」
「こっからだと周り海しかねーからな、夕陽が水面に反射してキラキラして綺麗だし、遮蔽物ねぇから太陽も綺麗に落ちてく様を見れるんで、わりと定番だな」
「その言い草、銀八先生もデートの締め括りに利用した口ですね?」
「沈黙を守るのが男の美学」
「いやそれ答え言ってるようなもんですから。分かりやすく目が泳いでますから。
まあ確かに────この場所は楽しかった一日を締め括るのに適した風景ではありますね、夕焼けと水平線ってのは美しい幻想的な風景だ……」
「ああ。『黄昏時』って言う時間帯だな」
「おお、国語の先生っぽいですね今の」
「ぽいんじゃなくてマジで国語の先生なんだけどな」
「そうですね。────あ、陽が完全に落ちましたね……今日はもう帰りましょうか」
「……そーだな。帰りはまたあのリムジンなんか?」
「いえ。帰りはメルセデス・ベンツです」
「無駄な拘りだな」
緋はまた昇るから、きっとまたいつか。
「着きました。それじゃあまた明日、同じ時間に迎えに来ます」
「おー、了解了解。んじゃまあ今日のところは名残惜しいけど解散だな、おやすみザビ子、また明日な」
「────はい、おやすみなさい銀八先生」
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