星屑の煌めき
(銀魂/銀八)恋を享受する木曜日
月曜日→火曜日→水曜日
「銀八先生。お早う御座います」
「……おぉ、おはよーさんザビ子、すげぇビビったんだけど、なんでお前俺より先に国語準備室に居んだ」
「やだなぁ、普通に鍵開けて入りましたよ？ ま鍵は無断拝借ですけど」
「おっまえ、それ普通に駄目な奴だろ。怒られるぞ」
「大丈夫ですよー、バレなきゃ良いんだから」
「確信犯だな、まあ言い得て妙だわな。さて、俺今日の授業の支度すっからお前出てけ」
「えー、別に良いじゃないですかー、私、銀八先生の彼女なんですからー」
「俺を隠れ蓑にするような女は彼女じゃないですぅ〜、そういう計算高い女は俺は苦手なんでお断りしますぅ〜」
「っ、か、隠れ蓑って言っても事実としてお付き合いしてるんだから良いじゃないですか別に！！」
「おいィィ、静かにしろぉぉ！！ 誰か来てこの状況見られたら絶対に誤解されるからぁぁ！！」
「いや今はどっちかって言うと銀八先生のがおっきい声出してますからね」
「ぐぬっ、お前ほんとかっわいくねぇな。てーか、あんでお前ここんとこ俺につきまとってんだ」
「逢瀬を重ねてる、と仰って下さい。甲斐甲斐しいんですよ私。
その、私達……『偽物の恋人』でも、そばに居て理解を深めたいと思ってるんですからね？」
「そ、ぉか……。なにちょっとしおらしい態度取ってんだお前、お前の本性はそんなもんじゃないだろ」
「銀八先生、私、考えてみれば銀八先生の事なにも知らないんですよ」
「あ？ なにを急に」
「相互理解を深めたいと今日は思っておりまして、互いの事を理解したいと思いませんか？」
「いや別に」
「質問し合っていく形式を採用したいと思っております。銀八先生も私に聞きたいことあればこの際何でも聞いてください、どーんと太っ腹に答えますよ」
「いや別に聞きたい事なんてねぇ……あ、お前なんで俺を選んだんだよ」
「？ 偽物の恋人にって事です？」
「それ以外にあるかぁ？」
「えー……まあ、単純にあのタイミングで先生が来たってだけですね。別に誰でも良かったんです」
「バッドタイミングであの場所に行った訳か俺は……」
「────でも。やっぱり銀八先生で良かったと今は思ってます」
「…………ザビ子────」
「銀八先生、からかい甲斐ありますしね。話してて面白いですし、なんだかんだで私のワガママ許容してくれますしねっ、えへっ！」
「おっま、俺のときめき返してくんない？ 一瞬でもときめいた俺のバカ！！」
「良いじゃないですかー、銀八先生案外チョロ……ごほん、面倒見良いからこうして甲斐甲斐しく私の話、聞いてくれてますし？
んふふー、ほんと良かったですよ〜、あの時あの場所に来たのが沖田総悟とかだったらもー、今頃私は強請られてましたからねぇ」
「あー、沖田はなー、やりそうだわー、うん」
「ね？ ヤバそうでしょ？ その点先生はちゃあんと理由を聞いて尚且つこの茶番に付き合ってくれるんですもん、良い人です」
「……茶番に付き合わせてる自覚はあるんだなお前」
「そりゃあね。ありますとも。あるから、労ってやろうって思って、購買のプリン買って来たりとかしてたんですよ」
「あ、アレはお前の仕業だったのか。俺てっきりこの前助けたタワシの恩返しかと」
「タワシの恩返しって、先生タワシをどう助けたんですか。
現実的に考えて誰かの恩恵だって思いますでしょ、そして必然的にそれは私だって気付きますでしょう？！」
「俺察し悪いんだよ……そーかあれはお前の、ありがとなー」
「……遅い。普通気付くと思ってたのに。ちまちま積んでた私、馬鹿みたいじゃないですか」
「いやいやいや、アレは大いに助かった俺今金欠でケツ毛に火を灯してる生活だから臨時ご飯は超ありがてー」
「どんだけ。ていうか先生公務員なんですよね？ そんなに給料悪いんですか？」
「そりゃそーよ、先生ってのは物凄い薄給なんだよ。指毛に火を灯す生活よー」
「ふぅん……」
「お、ていうかそろそろお前教室行っとけ。最初の鐘がそろそろ鳴んぞ」
「────分かりました。また後ほど」
◇ ◇ ◇
「…………もう流石に何が起きても驚かない気概で居たけど、いや流石にこれはビビるだろ」
「お疲れ様です銀八先生。どうしたんですかそんな蛇に睨まれたガマみたいな反応して」
「……どう言って良いのやら。とりあえずもうこのトンチキな娘っ子に踊らされるのは慣れろって話だよな」
「トンチキとは失礼な。折角こうして銀八先生の帰りを今か今かと待っていたのに」
「……もう怖いよこの子の行動力、なんで家に帰って来たらお前居るの？」
「私にかかればこんな家の鍵なんて三秒で開きますよ」
「その行動力と実現力は他の事に発揮して欲しい、先生ほんと今日イチ腰砕けるかと思った」
「ふふふふ、私は興味のある事以外にはそういうのは働かないのですよ。ていうか大体の人間がそうですよね、興味ないと触手を伸ばしたりしませんよ。
まあとにかく、お疲れでしょう銀八先生、お風呂洗って新しいお湯張ったんで入って疲れを取ってくださいな」
「……うーん、部屋がめっちゃ綺麗になってる。ここは礼でも言うべきなのかそれとも不法侵入で怒るべきなのか……もう疲れてるから大人しく言われた通り風呂入るわ」
緋を見るより明らかなコト。
「うぃ〜、なかなかに良い湯加減だったのがなんとも言えない」
「お帰りなさい。ご飯も今ちょうど出来た所です、食べて下さい」
「────え、お前なにその無駄なスキル。ザビ子に限って良妻スキルはねぇと思ってたのに騙された」
「んだとゴラ。忘れてると思うけど私イイトコの令嬢なんだからこういう系は完璧にこなせるんだぞ」
「いやいやいや、騙されねぇぜ俺は……大体こういうパターンはメシマズなんだ知ってんだぞ俺ァ……普通に最高に美味いしぃ！！？？」
「あんま私をナメんなよ。良妻スキルカンストザビ子様に死角はないぞ」
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