星屑の煌めき




(銀魂/銀八)恋に気付く水曜日
月曜日火曜日





「────────」

「おー、来たかザビ子。さっさとへぇれ」

「っ! なん、まだノックもしてねぇのになんで居るって分かったんだよ」

「俺わりと人の気配に敏感なんでな。良いから入れ、あらぬ誤解を受けそうで怖い」

「……し、失礼しま、す…………昨日、あんだけ言ったのになんでまた呼び出しすんだ、アンタは」

「んー。お前の担任として、お前がこれから生きてく上で大事な物を取りこぼさねぇように導いてやろうかと思ってよォ〜?」

「そんな椅子に体育座りしながら高速で回る奴に言われても」

「銀八少年はいつまでも素敵な事を追い掛けるからなー」

「少年……?」

「おっと真顔でこちらを蔑む眼差しを向けるのはヤメるんだ。
どっこいしょっと、んおー、めっちゃ目ぇ回る」

「……話ねぇんなら、私、帰るんだけど」

「いやあるから、ん、お前今日から俺のお手伝いをするよーに」

「クソダル。さげぽよ。死ねカス」

「頑なに四文字に納めようとした努力を認める。
お前、人を下に見るのやめような、みんな同じでみんな違ってみんないいの精神を持て」

「みすゞ?」

「おー、よく覚えてたな。五点あげちゃうぜ。
で、早速お手伝いの内容なんだけどな、これ、現国プリント刷ってくんねぇ?」

「…………。腑に落ちねぇ。これ、普通に私断るからな」

「ノンノンノン。おめーに拒否権はない、何故なら現国係を昨日付でザビ子にしたからな、残念っ!」

「なるほどっ、てなるか! ……くそ、理事長に文句言ってやる」

理事長ババアに話しても無駄だってのはお前が一番分かってんじゃねーのか、ザビ子〜?」

「……くそ、ニヤけたその面ぶん殴ってやりてぇ」

「ま、そんなこんなで、よろしくな、ザビ子〜」

「…………。で、私はなにを手伝えばいいんですか、銀八先生」

「ぉ、口調が戻ったな。いい傾向だ、よしよし。
ひとまず、このノートを教室に持って行ってくれ、全員に手渡しで返却な。あとそこのプリント刷んのヨロシクー」

「分かりました。では今後とも宜しくお願いしますね銀八先生。この件はまたいずれどこかで」

「怖いこと言い残すなよ」





◇ ◇ ◇






「皆さんお早う御座います、何故か今日から現国係になりましたので現国のノートを皆さんにお返しします。
志村妙、この所々にある赤黒い斑点はなんですか、ノートは大事に使いなさい」

「あら、そんな話初耳だけど……。ありがとうザビ子ちゃん。
────この染みは、気にしない方が良いわ」

「────そうですか。致し方ないです。
神楽、あなたはどうしてノートに色んな汁物のシミが残っているんですか、名前が滲んで見づらいです」

「ありがとアルザビ子ー」

「……いいえ。係なので」

「でもなんだって急にそんなけったいな係になったアルカ?」

「さあ。私にもよく。クラス全員分のを返して回るので、これで失礼します」

「あ……もお行っちゃったネ。いくらわたしが千年に一度の圧倒的天使すぎる美少女だからって、そんな急ぐ事ないのヨ」

「うふふ、神楽ちゃんのそういう厚かましいぐらいのポジティブな所私嫌いじゃないわよ。
けど、あの子とこんなに会話するなんて、初めてだわ。……先生もちゃんと考えていたの、ね」





◇ ◇ ◇






「っあー、ダリぃ! なんでこんなダルい事私がしなきゃなんねーんだよ!」

「おつー。配り終えたかー?」

「終わったからこっちに来てんだろ!?」

「わっはっはー、落ち着けよザビ子ー。珈琲豆を拳で粉砕するのは良くないぞー」

「落ち着いてられるかってんだ、アンタ、なんでクラス全員分いちいち手渡ししなきゃなんねーんだよ!?」

「んふふー、まあいいじゃねーの。それよりちゃんと全員に手渡ししたのかー?」

「したっていまさっき言ったろ。聴こえないのかアンタの耳は」

「そうか、じゃあちゃんと一人ひとりに声かけてきたのか?」

「それもちゃんとやった。人数少ないとはいえ割と大変だな、アンタちょっと尊敬すらァ。
あんな纏まりのないクラスよく受け持ったよ、ほんと」

「なんか気になった事とか、あったか?」

「ん、そうだな……。強いて言うなら……。
喧しいだけかと思っていた近藤勲はわりと人望が厚くて慕われてる。目つきが悪くて柄も悪いと思ってた土方十四郎はああ見えて几帳面、性格が悪くてサディストな沖田総悟は勉強が出来る、厚かましいだけの女と思っていた志村妙は暴力的、授業中弁当食ってばっかの神楽は努力家……」

「────」

「……? 何笑ってんだよ、なんか変な事考えてんのか」

「いんや、オメーもやっとこのクラスの一員になれたと思ってよ」

「……」

「下々の者と決めつけていた連中も、話してみると以外と面白え奴で、案外悪くねぇなって思えたろ?」

「……。まあ、釈然としねぇけど、悪くはなかった」

「だろ。あいつ等、確かに煩くて馬鹿で阿呆で喧しい連中だけどよ、存外悪くねーんだよ、あの空間は。
ま俺もたまーに、こいつらホントに人間なのかって思う時もあっけどな、ゴリラしかいねーもんな」

「ふふ、言えてら」

「……ザビ子、お前、普通に笑えるんだな」

「────何を急に」

「いや、いつも張り付けたお面みたいな笑い顔だったからよぉ、今みたいな普通の笑い顔って初めて見たわ」

「…………銀八先生って、わりと生徒の事見てるんですね」

「そらぁな、お前らの担任の先生だもんよ」

「私、わりと猫っ被りは徹頭徹尾完璧にこなしてた筈なんですケドね、銀八先生には効果なかったみたいですね?」

「っは、お前の場合猫っ被りってより鉄面皮の無愛想って言うんだけどな」

「的を射てるのがちょっとムカつきますね。私、口を開けば先程のように粗野が目立つのでなるだけ喋る機会減らしたつもりなのに」

「腐っても担任の先生だ、あんまナメんなよ、まあでもそんな本性隠してるとは思いもしなかったけどな」

「本性言うな。でも、ホント、意外と良いクラスです、アレ等は。
話して良かった、話す事が出来て良かった、そう思います」

「そうか。んなら、俺も嬉しいわ、受け持ちのクラスで問題児が一人片付いたからな」

「……っ。銀八先生、昨日の話なんですけど、あれ、やっぱり継続して貰えます?」

「あ〜? 偽の恋人役をかぁ? ……んー、まあ実質的にあと二日だしな、良いぜ」

「有り難う御座います。それは土日含んでないので実質的にあと四日です」

「マジでか」














































































緋はまたのぼり、動き出す。

「んー、暇だから先生にスタ爆しよ……うを、なにLINEに通知来た、誰だろ……先生じゃん。えー『お前現国の小テストなんで苗字俺の苗字使ってんの?』ぶっふぉ、バレたか」
『服部先生に見られて物凄い誤解をされただろうが』
「誤解も何も、だって……『私達結婚前提に付き合ってるから別に構わないじゃないですか』っと」
『だからそれは便宜上という仮契約みたいなもんだから』
「むむむ、先生意外と頑固だな。これは落ちた方が負けっぽいな」










































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