星屑の煌めき
(銀魂/銀八)恋を履き違えた火曜日
月曜日
「お早う御座います、銀八先生」
「んお、ザビ子か。はよう。てかお前やけにはえぇな、まだ登校時刻だいぶ前だぞ」
「早めに来て銀八先生との親睦を深めようかと。私達、結婚を前提にお付き合いしているのですから?」
「おま、声がでけぇよ!! 頼むからデカい声でそんな事言わないでくれるぅ!?」
「あらあら、事実であり虚偽でもありますでしょう」
「相手が最大出資者だから問題になるんだよ事の真偽はさて置いて」
「そうですね。分かってて言いました」
「おっまえ。ホントいい性格してたんだな……今までは猫被ってたのか」
「惜しい。正確には喋るのがダルくて黙ってたの間違いです」
「口を開きゃマシンガントークの癖に」
「懲戒免職処分も検討した方が宜しいですか?」
「懲戒免職処分で済むのが逆に凄いわ」
「金の力で揉み消しますけどね。私、わりと銀八先生の事好きですよ、人間として尊敬……はしてませんけど、話してると面白いですし」
「尊敬してくれよ、お前のワガママに付き合ってる心優しきいち少庶民だぜ?」
「さて、それは今後の銀八先生次第ですよ。……どっこいしょ」
「そこ服部先生の机だぞ」
「だから痔用座布団が敷いてあるんですね……ドーナツクッション? て言うんでしたっけ?」
「分かってるならあんま触れてやるなよ」
「銀八先生。質問です」
「話が急に変わるなお前……なんだ、答えられる範囲でなら答えるぞ」
「銀八先生って今まで女性とお付き合いされた事あります?」
「────月並みに」
「ふぅん。じゃあ事後確認になったんですけど、いまお付き合いされてる方って居たりしました?」
「居たらおまえ、即日丁重に説得してるわ」
「ダヨネー。銀八先生今カノジョなしかー、良かったじゃん、丁度良くて」
「良くなくねぇよ。お前生徒、俺先生、分かる?」
「なんで片言になるんですか。分かってますよ、分かってるからこうやって人目を忍んで逢瀬を重ねてるんですから」
「重ねたくねぇよンな危険な逢瀬」
「冒険心ないなぁ、男の人は冒険心なくしたら駄目だって〜」
「俺は石橋を叩いて安全を確認した上でその橋の上をジェット機で渡る様な慎重な男だからな」
「それ橋渡ってねぇですよ」
「おーおー、俺はそういう人間なの、分かったらさっさと教室行けザビ子。
もーそろ他の先生が準備室から帰ってくっからお前居るとアレだ。
今日は一限目現国だから楽しみにしとけー、みんな大好き小テストが待ってっぞ〜」
◇ ◇ ◇
「ふごー! 今日の現国有り得ないアル! 朝からいきなり小テストとか阿呆アル!! ザビ子ー、奈多音でたこ焼き食べ放題しよー!!」
「……私それに、興味ないんで」
「神楽ちゃん、私と行きましょうか。ザビ子ちゃんも忙しいのに引き止めちゃってごめんなさいね?」
「……。用がないなら私行きます」
「────行っちゃったアル。ザビ子、ほんと愛想がないネ、わたしが千年に一度の圧倒的美少女だから緊張しちゃうの無理ない分かるケド」
「神楽ちゃんはわりと図々しいぐらいにポジティブよね、それがあなたの良い所だと思うわ。
……あの子、ああも周りと打ち解けようとしないのは何故なのかしらね」
「どーだろうと姉御、たこ焼き食べいくんでしょ、早く行かないと先着で決まってる数埋まるアル!!」
「ふふ、そうね。あの子はまた今度誘えばいいわ」
◇ ◇ ◇
「ザビ子、お前クラスで浮いてるって自覚あるのか?」
「だってそりゃあんな態度でクラスメイトと接してりゃ浮いた奴にもなりますよってからに」
「いやそんなケラケラ笑いながら言われても、俺なんて言ったらいいの?」
「なにも言わないのが正解です。私、本来なら殿上人なので彼らは会話を交わす事すら叶わない人種なんですから。
人と関わるのが面倒臭いってもあるけど、人と繋がり持った所で断ち切られるのが見えてるんです。なら最初から持たない方が良いんです」
「────」
「あ、あのクソ父が最近また私の身辺調査をし始めたみたいですから、その内銀八先生とのこの関係も向こうに分かる筈です。
その時は口裏合わせてくださいね、私、糞爺の所に嫁いで将来潰したくないんで」
「そうか。お前、結構人間として終わってんだな」
「は?」
「いや、言ったところで変わらないと思うけど言わせてもらおうお前の担任として。
ザビ子。お前は基本的に他人を下に見てる。自分の血筋を貴ばれる物だと思ってるのはお前もなんだよ。
人は血筋で見るべきじゃねえ。そいつ自身が持つ性根を見てやるべきなんだ。
良いか、お前は根本的に間違えてるんだ。他人とお前になんら違いなんてねぇんだって事、気付けよ」
「なにそれ────めんどくせェ。アンタ、そんな説教垂れるような奴だったか?
なんだ、私の見込み違いか。それともアンタも私同様猫被ってたのかっての。もういいけど。
ダルい、萎えた。もういいよ、アンタには失望した、結局はアンタも、私の敵なんだな」
「……全ての人間を好き勝手出来るとでも思ってた口振りだな、ザビ子。育ちが育ちだから仕方ねぇとは思うけどお前のソレは天性のモノだな」
「気安く話しかけんな、アンタに無駄な労力使いたくない。
この関係は現時点を持って解消する、明日から私に話しかけるなよ、クソ担任────……」
「…………っ!! ドアぐらい静かに閉めろよ、にしても────思ってた以上に歪んだ教育を受けてたんだな、アイツ……。
明日っから、いや、それは出過ぎた行為だな……っけど、かと言って放っといてえれぇ事になったら大変だしなァ。
くっそ面倒くせぇ、担任の領分超えてんじゃねぇか、こんなん」
朱に交わらば緋にならずとも。
「かと言って、ジジイの言う事聞きたくねぇしな……うを、なんだLINEに通知来た……っ銀八せんせ……」
『明日 早めに国語準備室に来られたし』
「……誰が行くかっつぅんだよクソ天パ────誰が…………コイツ、しつけぇな……」
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