星屑の煌めき
(銀魂/銀八)恋を始める月曜日
「────はいお父様、ザビ子です。何か御用ですか?」
『────……』
「そうですか、ですが私には私の予定があります。お父様の干渉は」
『……!!!!』
「っ、私は私の好きな様に生きていたいのです、お父様、もうザビ子は子供ではありません」
『────……!!!!』
「それでは失礼します。……チッ、いちいちうるせぇクソジジイだな、しつけぇったらねぇ、くたばれクソが」
◇ ◇ ◇
「校内見回りとかクソだりぃな、給料上乗せとかなんねぇかなぁ、くそ。
んあ、まだ教室に電気ついてんな……おーう、誰かいんのかー」
「っ!? ……ああ、銀八先生ですか、ビックリしました。どうしたんですか」
「お前の方こそ最終下校時刻過ぎてんぞザビ子。なにやってんだ、早く帰れ」
「……そうですね。銀八先生でもこの際いいかもしれん」
「あ? なにが? てか帰れよお前」
「銀八先生、私と付き合って下さい」
「……は?」
「銀八先生、私と結婚を前提としたお付き合いをしてください」
「いやちょっと言い方変えた所で意味分かんねぇから? なに言ってんだお前?」
「あれ? 開口いの一番に断りの文句が来ると思ったんですけども、理由聞いてくれんですか?」
「そら、お前、お前はそんな突拍子もない変な事言うような生徒じゃないから、に決まってんだろ」
「普段の行いの賜物ですかねぇ。理由としては至極簡単です、私と結婚を前提としたお付き合いをしてくれればそれでイイです」
「理由に、なって、ねぇ!」
「あぃっでぇ!!?? 銀八先生、いきなり大切断は痛いですよ?」
「お前がはぐらかすからだろ。キチンとふざけないで順を追って説明しろっつってんだよ、俺は」
「んー、どこから説明しましょうかねぇ。……あ、銀八先生、私の実家の事はご存知ですか?」
「オメーん家? この学校に多額の寄附金を積んでる物好きな金持ちだろ?」
「まあざっくりとした説明だとそうですね。
私の父はこの国の警察のお偉方、母は政界の重鎮の一人娘、阿呆みたいに絵に書いたバ金持ちです」
「自慢ですかコノヤロー」
「万年金欠の銀八先生にはそう聞こえますか? おほほ、構いませんのよ、私とお付き合いすれば自由に使える金がそれこそ湯水の様にありますことよ」
「何キャラ?」
「分かりやすいお金持ちキャラです。分かりませんでしたか?」
「分かっけどよ。────そんでそんな金持ち一家のザビ子はなにをどうトチ狂って俺にプロポーズまがいの告白をしてきたんだ?」
「そんな由緒正しい貴ばれる血筋故の凝り固まった思想、といえば分かります?」
「────親の決めた結婚、か。そいつァ行き遅れなくて済むじゃねぇか」
「ざっけんな、相手七十の老耄だぞ。どう考えても淫行だろくそったれ」
「ザビ子、お前口調荒っぽくなってんぞ」
「ぁいっけね。まあ、そんな年上の所に娘を嫁がせて自分の地位を確固たるものにしたいんですよ、アホ父は」
「おま、父親の事をそんな風にいってやるなよ」
「そんな父親の言いなりになりたくないので、手っ取り早く彼氏でも作っておこうと思いましてね、銀八先生に声をかけたのです」
「博打かよ。ザビ子結構反骨精神あんのな、そこは大人しくすべきじゃねーの、仮にもお前、『ご令嬢』だろ?」
「高校までは好きに生きていいと約束したにも関わらず今月中にそのクソジジイとの婚約を済まそうとする糞親の言う事なんて聞くつもりハナからねーよ」
「…………。そうか、で、俺を隠れ蓑扱いにする訳か」
「惜しい。正確には親に紹介します」
「おま、それ、俺が淫行で捕まるだろ!!」
「揉み消してやりますよそんな不祥事!!」
「ええええ、なにその力強さ……逆に潔い」
「────銀八先生、私の事、嫌いですか……?」
「……いや、ここでなんと答えたら良いのか日本語難しいな、好意的に答えたら淫行だし否定的に答えたら聖職者失格だし」
「まあ、本当の所、付き合ってるフリをしてくれさえすればいいのですよ。
試しに一週間だけ、私と恋人ごっこしてください。それを父親に報告しておきますので」
「ぶっちゃけるなお前、なんか今この短時間でお前に対しての印象崩れ落ちたわ」
「なんとでも言ってください。私はあの糞父親に反抗する為なら外道にもなりますよ。
銀八先生、とりあえず一週間だけでいいのでよろしくお願いします」
「……仕方ねぇ。どの道なんともならねーんだろ、俺に選択の余地はねぇだろうし」
「賢い選択です、では糞父に恋人がいるので婚約は出来ませんと報告しておきますね」
「あーーーー、俺の穏やかな教師生活どこ行きやがった……」
緋代鳥の画策。
「先生連絡先交換してください。LINEで良いですよ〜」
「ほいよ、勝手にしろ」
「詳しくは明日また話しますね。それでは今日はこの辺で、ご機嫌よ〜う!」
「お前ほんと自分勝手だな」
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