星屑の煌めき




(Fate/士郎)満月に引き裂かれたペテン師





「ザビ子ー、ザビ子ー」

「なぁに士郎。ていうか、ザビ子を呼ぶならお姉ちゃん呼びしなさいって!」

「いでっ、だってザビ子、姉ちゃんっぽい事してくれねぇだろ。俺に姉扱いされたいならそれっぽい事しろよな」

「ふぐっ、それに関して口を閉ざす私なのでした……。じゃなくて、何か用だったの?」

「ん。そうだった。忘れるところだった。そろそろ父さんと母さんの結婚記念日だろ、だからなんかお祝いしたくてさ、買物に行きたいんだ、ザビ子、自転車の後ろに乗せてくれ」

「あ〜。そうだったね、あと三日で結婚記念日か……大体分かったけど、士郎、買物ってどこまで行く気なので?」

「新都」

「ダヨネ。馬鹿か、郊外こ こから新都そ こまでどんだけ距離があると思ってんの?
私確かに自転車大好きだけど、やだよ、遠いよ、無理だよ、なんでバスで行かないの」

「だって俺、バス分かんないし……」

「……ふぐっ、急にそんな可愛い顔でしおらしくしないで、なんか私いじめてるみたいじゃん……。
むむむ、遠いからホントは二人だけで行っちゃイケないんだけど、どうしよ……連れて行ってあげたい姉心……」

「ザビ子、そんな時こそ姉ポイントを稼ぐ時じゃん、こういう時こそ姉ポイント稼げるぜ!」

「姉ポイントってなにさ。そんなシステム初耳だわよ。仕方ない、自転車はごめんだけどバスでなら連れて行ってあげられるわ。それでいいでしょ」

「やりぃ、こういう時姉が居て良かったって思えるよ、俺!」

「複雑!!」





◇ ◇ ◇






「母さんにはこっちの湯呑み、父さんにはこの湯呑み。よしバッチリだな、ありがとうザビ子、これで明後日渡せるな!」

「私がその湯呑みのお金出したの頭に入れときなさいよ士郎。何あんたひとりで買ったみたいな顔してるのよ」

「だってしょうがねぇだろ、バス賃だけで俺のお小遣い飛んだんだから」

「まさかアンタあんななけなしのお小遣いでプレゼント買うつもりだったとはね。私も流石に驚いたっての」

「でも、結果ザビ子がお金持ってたから良かったじゃないか、無事に買えたしこうして無事に帰れてるんだから」

「士郎、帰りのバス代は私の金だって頭に入れてね?」

「いやぁ、こういう時姉が居てホント良かったって思えるよ、俺」

「こういう時に限って弟パワー発揮するのやめない?」

「へへへ、これでザビ子の事、姉ちゃんと呼べる日が近付いたな!」

「出来る事なら今すぐにでもそう呼んで欲しい所よ?」

「へいへい、ザビ子姉ちゃん、今日はありがとな」

「釈然としないけど、良しとしよう。どういたしまして、士郎、こういうお願いはもうちょっと早めに言ってね、次からは当日に言わないでね」

「次もなんだかんだで面倒見てくれる前提で話すからザビ子は良い姉ちゃんだよなー、いい姉に恵まれたな、俺〜」
























































そうして訪れた、全てが終わり、全てが始まったあの夜。

「士郎は弟っぽいのよねぇ、なんというか弟の色してるわオーラが」
「なんだ、それ。遠坂もたまに変な事言うよなー」








「切嗣に引き取られたあと。
 何度も何度も焼け野原に足を運んで、ずっと景色を眺めていた。
 何もなくなった場所にいって、有りもしない玄関を開けて、誰もいない廊下を歩いて、姿のない母親に笑いかけた。 」

「俺には『衛宮』となる前の苗字を思い出す暇はない、今を全力で生きて、あの時の人達の分も生きなくちゃいけない」
































◆ ◆ ◆



























































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