星屑の煌めき
(Fate/士郎)華麗なる幼児化計画
「マジカルリリカルな事があり、なんでか分かりませぬが私ザビ子は子供に戻ってしまいました」
「のっけからもうついてけない」
「それこそ衛宮くん、ついて来れるか?」
「テメェの方こそついて来やがれって事か、すげぇな訳分からん」
「多分遠坂辺りがなんかやらかしたんでしょう、衛宮くん私を運んでくれ、遠坂の部屋まで」
「え、ご自分で歩かれては?」
「おいおい衛宮くん過酷な事を言うね今の私は三歳から四歳児、体力は無尽蔵にあるように見えて底が浅い」
「────つまり疲れたから抱っこ、て奴か……」
「イエス!!」
「……仕方ねぇな、よしザビ子、ばんざーい」
「ばんざーい!!」
「無邪気な笑顔しやがって……はい、よっこいしょ」
「っ……意外と顔が、距離縮まるのね、コレ。思ってた以上に恥ずかしいわ」
「なっ、なに言ってんだばか!」
「……ともかく、遠坂の部屋、行こう」
「ぉ、おう……」
◇ ◇ ◇
「とーおーさーかー、ノックしてもしもーし」
「遠坂ー、居るかー」
「とーさかー、居ないのー」
「そんな筈はないと思うが……おーい、遠坂ー?」
「またなんか変な魔術品作ろうとして大ポカしたであろう遠坂ー? 穴があったら入りたいと思って布団に入って現実逃避に勤しんでるであろう遠坂ー?」
「殺されたいのかしらザビ子」
「あ、なんだ遠坂、居たんじゃないか。居るならそうと早く出て来てくれればいいのに」
「衛宮くん察してやれ遠坂の事だまたなんか仕出かしてやっちまった感が否めなくて彼女なりに現実を見てみぬふりしてたんだろうさ多分」
「そこへ直りなさいザビ子、ガンドの雨を降らせてあげるわ」
「幼子への虐待はお止め下さいー、行政へ報告しちゃうぞー」
「落ち着いてくれ遠坂、中身がいつものザビ子だから確かに少し苛つくが見た目はまだ小さな子供だ!!
今からきちんと教育していけば、ちゃんとした真人間に育つ筈だ!!」
「あるぇ?! 衛宮くんもわりと動転してた!?」
「貴方もわりと落ち着いて欲しいものだわ衛宮くん。もういいからとりあえず部屋に入りなさい」
「おじゃましまーす」
◇ ◇ ◇
「端的に言って。アンタが小さくなったのは私が原因よ」
「だろうね」
「この場合遠坂しかいないだろ」
「アンタらこの世に残す最後の言葉はそれで良いのかしら?」
「でもどうして子供に戻ってしまうとか妙ちきりんなリリカルマジカルな事が起きたの遠坂」
「……簡易的な不老不死を実現させる文献を見つけてね、それをちょっと試したのよ、そしたら、アンタがそうなったの」
「えー、なにその怪しさ満載の文献。どこの奴よそれ、絶対失敗しかしない奴じゃん。そして案の定失敗して私こうなってるんじゃん、やめてよ遠坂」
「ベッドの上で跳ねるんじゃない危ないだろ、降りなさいザビ子」
「ご覧ください遠坂、衛宮くんのこの溢れんばかりの父性愛を。ヤバいよコレ」
「ヤバいわねコレは。私なりに色々探してみる、アンタがそうなったのは私が原因なんだから」
「え、なんで突然結託してるんだお前ら二人。別にしばらくこのままでも俺は構わないけど、そう性急に物事を進めてもろくな事にならないぞ、遠坂」
「衛宮くん、落ち着いて。アレは見た目可愛い小さな女の子だとは私も思うわ、けれどね? 中身は残念な同い年のザビ子なのよ?
可愛い見た目に騙されないで、アレはあくまでザビ子なのよ、衛宮くん戻ってきて?」
「おい遠坂その言い文は私にものすっごい失礼なんだって知ってるか?」
◇ ◇ ◇
「遠坂が文献を解読する為に集中したいと部屋を追い出され、居間に戻ってきた訳だが────ところでザビ子、腹減らないか?」
「お腹空いたー、もうお昼を30分ほど過ぎてるからお腹ペコペコリーナ」
「そうか。よし、じゃあ今からお昼にしよう。時間かかるけど、大人しく座って待ってられるか?」
「やっだ衛宮くんが凄い優しい、物凄い怖い! いつもなら『昼飯用意するまで時間かかるぞ頼むから台所に来るなよ邪魔だから』とか言うのに!
衛宮くーん、その溢れる父性愛は懐に閉まって欲しいー!」
「ザビ子は俺をなんだと思ってるだ。俺だってお前を邪険に扱いたくないけどお前俺の邪魔しかしてこないじゃないか」
「いやー、面目ござらん。調理姿の衛宮シェフが凛々しくて愛おしさがハンパなくてついちょっかいかけてしまうのでござるー」
「ばっ……!!?? お前いきなり、なに言い出すんだこのばか!」
「うへへ、よしいつもの衛宮くんに戻ってきた。この調子で声だけで会話していけば本調子を取り戻すだろ」
「まったく油断も隙もない……よし、出来た。はい、お待ちどおさま」
「わーいただきまーすて。え。ナニコレ」
「今日のお昼はオムライスにしてみた。ザビ子好きだったろ、オムライス」
「うん好きには大好物だけど、いや盛り方とこの旗とお皿」
「ああ、この前作ったからもうコツは完璧に掴んだ」
「いやそうじゃない違くて。このお子様プレートによそられたお子様ランチ的なオムライスは、なんぞ」
「うん、ソレをモチーフに作ったからそうなるな。以前イリヤが『お子様ランチが食べたい』って言うから、それっぽい皿と旗を百円均一で買ってきて作ったんだよ。
その時よりはだいぶ近いものを作れたと、今かすかな自信に満ち溢れててるぞ、俺」
「同い年の彼女に食わす昼飯がそれかーーーー!!?? 味はしかもめっちゃやっぱ普通に美味いしーーーー!!!!」
「好き嫌いしないで全部残さず食べきるんだぞ、いいな?」
「衛宮くんマジで冷静になってよ、助けて遠坂早く私を元に戻してぇぇ。
それはそうと、ご馳走様でした。美味しかったです。隠し味にガラスープ入れたのは最高です美味しさしかない」
「お粗末様でした。デザートはないからあらかじめご了承してください」
「衛宮くんが淹れてくれたお茶がある、それが最高のデザートよ。わはー、煎茶も玉露になるわー」
「そうか。経済的に安い子で助かる」
「可愛い、もう私の彼氏可愛すぎない? 最高かよ」
「なに言ってんだか全く。俺なんかより、お前の方がずっと可愛いぞ」
「……ッ、……っ!」
「将来的に、俺達に子供が出来たらザビ子に似た可愛い子になるな、きっと」
「矢継ぎ早に私を殺しにかかるのやめて! もうお願い士郎口噤んで! 照れる! 流石の私もそれは照れるからやめて!
帰ってきて士郎、お願い現実見て、っづぁあ現実今見ないで、今のザビ子を見ないでー!!」
「どっちなんだよ。ていうか、ホントお前は賑やかだな、これから先もずっと、退屈しないでそうやって騒ぐんだろうな」
「……ん? いまなんか凄い事サラッと言われた気がする」
約束された幸せな家族像
「……お子様ランチのレベルが凄い事になってる、君はなにを目指してるんだ士郎……味のレベルもめちゃくちゃあがってるし、美味いぃ……ぐぬぬ……」
「パパー、ママが変なお顔してるー」
「へん〜」
「ん〜? ママはいつも可愛いお顔だろ〜?」
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