星屑の煌めき
(Fate/士郎)月空に還りて御稜威より火具土へ
「夏も終わりかー。今年は異常気象で台風多かったねェ、この家吹き飛ばされるかと思ったわ」
「そうだな、だいぶこの家もガタが来てるからあちこちで雨漏りして大変だったな」
「ねー、アレは大変だったー。ポリバケツが足りなくて大変だったわー。蔵から容器になるもの総動員だったもんなー」
「ザビ子はひたすら騒いでただけだろ、なにをしゃーしゃーと」
「む、それちょい心外気味ー、ザビ子もちゃんと参加したじゃんよ、雨漏り地点探したり雨漏り地点探したり、雨漏り地点探したり!!」
「雨漏り地点探しただけじゃねーか。……うん、いや、まあ、それも有り難かったけど、見つけるだけでその後は俺に任せっきりだったろ」
「だってザビ子に出来る事じゃないもん、修理修復補強強化は衛宮の得意分野だしょー?
ザビ子に出来るのは探すコトー、衛宮に出来るのは直すコトー、適材適所」
「そう、だけど、やっぱりなんか不服だし腑に落ちねぇ……」
「衛宮は案外繊細で細かいね。良いじゃん得意分野を伸ばしていこう、そうよな?」
「……うーむ」
「煮え切らないねェ、あ、そういえば遠坂と桜は?」
「ん? その二人なら今日は遠坂邸に泊まり込みで掃除だって、前に言ったろ」
「遠坂邸にぃ? ん? ねぇ、遠坂邸は先月衛宮とザビ子で掃除したよね?」
「────ザビ子、この話は忘れた方が身の為ぞ」
「良く分かんないけど了解した」
「それより、折角の中秋の名月なんだからお前も腰を据えてちゃんと月見しろよ」
「んー、そうしようかねぇ。こっちももう、あとちょっとだどに」
「ほら、ここ座れよ」
「お、座布団まで敷いてくれたのぉ、せんきゅさんきゅ!! あとほい、お団子どうぞ」
「ん、さんきゅ。って、なんか本格的な団子で持ってきたな」
「タイガ先生がお家から三宝持って来てくれたから、期待に答えた結果こうなりやした。
あとで藤村さんに持って行って、ザビ子は、無理だから衛宮持って行ってね」
「おお、そうだったなのか。藤ねぇはまたこういうのを勝手に持ち出して組のお兄さん達が泣くぞ……」
「タイガ先生らしいっちゃね。ほいよ、上等な日本茶を淹れて来たから飲んで飲んで」
「おぉ、さんきゅ。ザビ子は粗野の癖にこまめな気配りできるのが不思議だよな」
「なにをぉ。事実だからザビ子反論出来ねぇわいな。
気配りっていうか、衛宮に対してアレコレしてあげたいだけなんだけどな」
「────っぶは!!」
「きったね。上等なお茶吹き出すなよ衛宮、ほいタオル。吸水性抜群なドイツ製だで」
「ゎ、悪い……いや待て今のはお前が悪いだろ普通に!?」
「はえ? ザビ子なんか変な事言ったかな? 言ってねぇと思うけど、衛宮は被害妄想激しいなあ」
「だから、あーもういいや、面倒臭い。お前がそういう奴だってのは最近知ったし、そういう奴だって割り切ればいいんだもんな、よし、もう知らねぇぞ」
「おうおう、なんだその言い草ー、ザビ子それ馬鹿にされてんて分かってるど。
酷いやつだねー衛宮は。罪作りな奴は衛宮の方だで。良い顔しぃだからねー衛宮は」
「はあ? それこそなんでさ。俺がなにしたっていうんだ、お前は」
「う? 無自覚? 無自覚なの? こわー!」
「いや団子をひたすら頬張ったところでなにも解決しないからな、答えを求めんだぞ俺は。お前は答える義務があるぞ」
「え? 言わなきゃわかんない? 言われなきゃ分かんないの? いやー無自覚天然誑しドンファン怖い」
「誰が放蕩児だコラ。お前あんまり俺を怒らせるなよ、明日朝ご飯抜きにするからな」
「衛宮心せめぇな!! いいもん、桜に作ってもらうもんよ、衛宮の和食最高だけど桜の洋食も美味しいんもー」
「桜にも協力してもらうから、それは無理な相談だな。俺はこれでもこの家の主だからな」
「衛宮のドンファンはそういう所から転じてる気するねェ。
ん、中秋の名月なのに全然月見てなかった、ザビ子ったらいつもの癖で衛宮ばっか見てた、たはー!」
「そういうお前もドンファンだと俺は思うがな」
お月様放ったらかしで忙しいのはお団子の所為
「ザビ子は衛宮しか見えないし衛宮しか見ないから仕方ねーでふゥ」
「ゲップされながら言われても困る凄く困る」
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