星屑の煌めき




(銀魂/万事屋)斯くも猛き女神の微笑み
斯くも儚き生命の流れにて→斯くも尊き流星のさざめき・続



「あれよあれよと、まさか半月はんとしもご厄介になるとわ」

「随分と真選組こ こに馴染んだじゃねーか、ザビ子」

「沖田くん、今のわたしは誰かさんの指示に従って偽名使ってるんだけど」

「さて? それはどこのどいつの指示なんでェ?」

「ぐぬぬ。あ、そういや副長から沖田くんに渡しとけってのがあったな、んーと、あっ、コレコレ。はいコレ」

「……。げええ、修繕費と慰謝料の明細書かよ、要らねーよンなもん」

「要らない訳ないでしょ、沖田くんが壊した市中の経費だけで家が建つんだから、ちゃんと給料から差っ引いとくかんね。
ほいで、こうじゃ。新しい刀が欲しいって言ってたでしょ、良い鍛冶屋見つけといたからそこで見繕ってくれば」

「お、さんきゅう。ところでザビ子、お前もだいぶ給料貯まったよな」

「やらんからな」

「要らねーよンな端金。俺のが蓄えあらァ。そうじゃねぇよ、そろそろ旦那の事、許してやっちゃどうだィ?」

「……」

「なにがあったか知らねぇが、旦那も多分反省した頃合いだろうさ、その辺はどうでェ?」

「どうもなにも、わたしが一番許せないタイプだから。もう金輪際アイツには関わらないって決めたの。
つーか、んな事沖田くんには関係ないじゃん!! ほーら、今日見廻り当番でしょ、早く行ってきな、副長にどやされるよ!!」

「へいへい、というか、お前今男装してるっつー自覚忘れんなよ、そのナリでザビ子の口調使われっと寒気がすらァ」

「喧しい奴じゃのぉ、はよぉ行け!!」

「へーへー、意地張るのも使い時があらァ、タイミング間違えんなよ」




◇ ◇ ◇





「意地なんて張っとらんし、そもそも謝るもなにも、俺は悪ぅないし。向こうが全面的に悪い。生活費溶かすとか頭おかしかろ常識的思考がありゃぁそがぁな事せん筈じゃ。
のう、ザキくんもそう思うじゃろ? ザキくんは俺の味方だもんの?」

「えっと、ごめん佳唯カ イくん、俺、君がなにを言ってるか半分理解出来なかった……」

「あー……すまんの。ん゙ん゙ん゙っ!! っよし!
俺は悪くないのに俺が謝るっておかしいよなって話なんだ、おかしいよな?」

「いやでも、俺の経験上『自分は悪くない』て言ってる人間は大体ソイツが悪いってあるんだけど」

「俺があくせく働いて稼いで貯めた大事な生活費、そんな生活費をギャンブルに回す奴が悪くないっていうのかザキくんは」

「ごめん、それはそいつが悪いわ。佳唯くんは悪くないパターンだ」

「ほうじゃろほうじゃろ、だのに許してやれとか、沖田くんも検討違いな事ぬかしよる」

「そういえば佳唯くんはここに来る前はどこで奉公してたの、そんなに劣悪環境だったら副長に言えば御用改めると思うよ」

「……。んー、なんというか、あそこは依頼があれば働けるっていうシステムだったからなー。
劣悪環境と言えば劣悪環境だぁな、でもいい所もちゃんとあるんだ。そこの大家さんが家賃滞納しても三ヶ月は待ってくれる」

「それっていい所? 滞納するぐらい仕事ないんじゃ劣悪環境だろそれ」

「まーなー、俺も感覚麻痺ってるかも。でも、それでもそこで働いてたっていうのは、やっぱり……。
────あ、そういえば副長のマヨストック切れてたんだった、やべぇ殺される。ザキくん後の洗濯物任してもいいですかね」

「あ、うん、任して。それより君は早くストック買いに行った方が良いよ、副長マヨが一定数ないと不機嫌になるから」




◇ ◇ ◇





「よーし、大量にマヨ買ったもんだから周りから奇異な目で見られたけど、これで殺される事はなくなったな。
さーて、帰るとすっかねぇ。それにしてもマヨ切れとヤニ切れ、副長はどっちが深刻なんだろ……甲乙つけがたいな。今度聞いてみよう。
……沖田くん、ちゃんと見廻りしてるかな、探してみた方が…………いや俺にそこまでの権限ないしな。ここは一つ沖田くんを信じてみよう。
ザキくんにあの大量の洗濯物を任してきた訳だし、早く帰ってわたしもやらなきゃ────」

「────ザビ子?」

「ぇ…………やば、神楽……」

「やっぱりザビ子アル! 半年もどこ行ってたネ! ザビ子がいないから私達雑草に塩かけて食べてたアル!」

「いやー違いますー俺はザビ子なんて名ではありゃあせんー俺は真選組副長付き小姓の佳唯ですー」

「おっまえ真選組に行ってたアルカ!! どうりで見つからない筈ヨー!!」

「今ちょっと日本語おかしかったけど俺は関係ない部外者であってそちらとは面識ないですけんー」

「ザビ子!!」

「俺は佳唯くんですよ見知らぬチャイナさん、人違いですよ」

「…………っ!!」

「ザビ子はもう死んだと考えればいいんじゃないか、そうしたら気持ちに区切りつくだろ、チャイナさん」

「でも!! ザビ子はこうしてここに生きてるネ!!」

「“ザビ子”は死んだ。名を捨て氏を捨て全てを捨てて別の人間としての生を謳歌してる、それだけの話だろ。チャイナさんも食い下がるねぇ、そんなに金が入用か? 少しなら立て替えてやるぞ」

「っ、ザビ子をそんな人間と思ってなかったアル…………見損なったヨ……私の好きだったザビ子は……そういう奴じゃないヨ」

「だからザビ子が死んだからだろ、チャイナさんが見てるのは幻影生霊ドッペルゲンガー、ザビ子であってザビ子じゃない。
わたしはね神楽、もうわたしである事を────捨てたんだよ」

「…………ザビ子」

「じゃあねチャイナさん、副長にどやされるの嫌だからちゃっちゃと帰るわ。
もう二度と合うことはないでしょうが、お元気で。銀時にもよろしく伝えてくれ、お前のせいでザビ子は死んだのだと」








































帰れない、帰らない

「…………意地っ張り、なんて可愛い言葉じゃねェな、ありゃ。強情頑固卑屈、その辺でェ。
帰りたがってるくせに帰りたいと思ってる自分を否定する事で今の自分を守ってやがる。
馬鹿で。本当にお前は馬鹿でェ。帰りたいなら帰れよ。帰れるうちに、喧嘩が出来るうちに」






























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あきゅろす。
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