星屑の煌めき
(銀魂/銀時)斯くも儚き生命の流れにて
「我が家は今月も大赤字です。どうしましょう」
「どーもこーも、仕事ねーから金もねぇ。これは自然の摂理だよぉザビ子ちゃぁん」
「雇い主が!! こんなんだから!! ザビ子が!! 苦労すんのよ!!」
「やっだザビ子ちゃんヒステリックなんだから、ちったァ俺を見倣え見ろこの落ち着きっぷりを、家賃三ヶ月滞納してもこの余裕っぷりだ、凄いだろ俺」
「死っっっっね!!」
「あで!!?? え、なんで今俺蹴られたの?!」
「蹴ってない、梱鎖歩だから崩し技」
「んなの聞いてるんじゃねぇんだわ、蹴られた訳知りたい」
「自分の股間に手を当てて考えろ」
「そこは普通胸なんじゃねーのかな」
「知るか。とにかく! 私が渡した金、どこやった」
「……今日新台入荷だったんだわ、儲けた」
「テメェ、なに賭け事に今月の金溶かしてんだ!!」
「手持ち十万で一万買ったんだから良いじゃねぇか」
「全額賭けてんのかよ!! つか9万スッてんじゃんけよぉ!!」
「次は勝つから大丈夫だぁって」
「────────ぶ ち ん」
「お? 今なんか切れる音したぞ」
「銀時、もぅわたし無理じゃ。ていうか、今までが頭おかしかったんじゃわ、わたしの」
「は? なにが?」
「テメェのクソみとぉな顔も性根も、愛想が尽きたって事よ、じゃあの、精々元気で暮らせばええよ。
ガキどもにもよろしゅう伝えといて、ザビ子は我慢強い方じゃったと」
「だから、なんの話ししてんだよテメーは 。要点を話せ」
「わたし万事屋辞めるけぇ、ここ出て行く。そがぁな話しとるんじゃが、察しが悪いんじゃのぉ」
「────え、マジでかマジでか」
「マジだっつってんじゃろ殺すぞ糞野郎、あばよ、達者での」
「待てってザビ子、え、マジでか、マジで出てくのか!? せめて食費だけでも置いてけ!!」
「 そのせめてもん食費をスッたなぁテメェじゃろうが!! げに性質悪いのぉ!!」
「えええええ、ごめんてザビ子俺が悪かったって!! だから出て行くのは考え直してくれよ、悪かったってマジで!!」
「さいなら、はぁ二度と会いとぉなぃんじゃ」
「やべぇ、ザビ子がお国言葉で喋るときはもう取り返しのつかない時だやべぇ、どう、待ってくれってザビ子!!
俺が悪かったって!! マジで反省して────いでぇ!! 言いすがる男の頭をサッカーボールみたいに蹴り飛ばすか普通!!??」
◇ ◇ ◇
「ふぅ……あぁはゆぅたもんの、行くアテもないしのぉ、どうしようかのぉ」
「お、ザビ子じゃねーかィ、なにしてんでェ」
「沖田くん、えぇ所におぉたな、助けて欲しぃんじゃが」
「日本語喋れやザビ子、お前の言葉は俺には理解出来ねェや」
「すまんの。あの、あれ。わたし住む家も仕事も辞めたからホームをレスってるの。助けてお巡りさん」
「馬鹿で。旦那と喧嘩でもしたのかィ?」
「喧嘩じゃのぅて、三行半叩きつけてきたんじゃわ、げにムカッ腹な男じゃ、ありゃあ」
「方言出すなっつってんでィ、なに言ってんだがサッパリだぜィ」
「すまんのぅ。怒り収まらんで、ついのォ。……んんんっ、よし。
────と、言う訳で、わたしをしばらく屯所に置いてはくれまいかね?」
「俺にそこまでの決定権はねーんで、その辺は一回屯所に行かねーと」
「えー、沖田くん上から三番目だろ? ヨユーヨユー」
「ザビ子はそこん所分かってねェからいけねぇ、まあどうでもいい事か。
んじゃまー、とりあえず一回屯所行ってみっか。多分大丈夫だとは思うがねェい」
「いやっひゃー、寝床ゲットじゃわ!」
◇ ◇ ◇
「なるほど。そう言う事があったのか、大変だったなザビ子ちゃんも。
大丈夫だ、しばらくここに居るといい!! 丁度女中さん方が辞めてしまった所で困ってたんだ。
ザビ子ちゃんなら料理も出来るし、こちらこそよろしく願いたい!!」
「本当ですか近藤さん!? げっにええ御仁じゃのぉ、お妙にゃ勿体ないぐらいじゃわー、なんにこうも残念ななぁげに不思議。
それじゃあしばらくの間、女中としてお世話になりますね、よろしくお願いしまーす」
「うむ、男所帯で申し訳ないな。住み込みとなると、部屋は鍵付きが良いんだろうが、そうなると蔵しかないんだ……」
「その辺は大丈夫ですよ、わたし男装の名人ですもん。これ、このように」
「え、これ、この写メの人物って、今テレビで見ない日はないとされるアイドルグループの絶対的エースの、侑希くんじゃないか!! え?! これザビ子ちゃんなのか!」
「ほうじゃ。常に男装していれば問題も起きないでしょう、いえいザビ子ちゃんてば超天才」
「────いや、でもなぁ、いくらなんでも……うぅむ」
「なら近藤さん、俺の部屋で寝泊まりさせりゃ良いじゃねぇですかィ?」
「総悟。いやそれも人道的に問題があるぞ」
「常時男の状態でいるってんだ、表向きは俺付きの小姓って事にすりゃァ隊士も変な事はしねぇ筈でさァ。
俺も、ザビ子の事はこれっぽっちもなんとも思ってねぇですから、問題もクソも起きねぇですぜィ」
「なんだろう、それわたし傷つくけど、なんだろう」
「おめーもう行くアテもねぇんだろ。なら死物狂いで寝床獲得してぇんだろ? しがみつけよ、みっともなく、無様に、浅ましく、嗤える程に足掻け」
「サディストモードヤメれぇ!! 助けてお巡りさぁぁぁぁん!!!!」
「俺がそのお巡りさんでさァ」
「近藤さん!! わたし沖田くんのお小姓は嫌です!! 土方さんか近藤さんつきのお小姓じゃダメですか!?」
「俺かぁ? いやー、身の回りの事は自分で出来るしなぁ!! 総悟が嫌ならトシになるしかないな」
「是非ともお願いします!! S星の王子様は嫌です!!」
「……チッ。土方さんの許可なら取るまでもねぇでしょう、だいぶ前から使える手足が欲しいっつってやしたぜ」
「マジでかマジでか!! 暗殺闇討ち仇討ち敵討ちなんだもござれ!! 貴方のホラーザビ子ちゃんですよ!!」
「それはどうかと思うが、ならばトシの小姓という事でヤツの部屋に寝泊まりする事になるが、ザビ子ちゃんはそれでいいか?」
「もうこの際沖田くん以外なら正直誰でも良いって感じなんでこのサディスティック星のプリンスのターゲットから外して欲しい」
「うむ!! しばらくの間、宜しく頼むぞザビ子ちゃん!!」
金の切れ目が縁の切れ目、て言うしね。
「これ土方さんの許可取ってねーけど大丈夫なのか? いいのかな?」
「大丈夫大丈夫、ザビ子、今から男装しておけ、自分の氏考えとけよ」
「お? 何故新しいオモチャを見つけた様な眼差しをわたしに向ける? え、ヤダ怖い」
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