極楽蝶華
どたばたの顛末
勢い良く閉まる扉。
鍵のかかる音。
そして……
……こちら側の鍵穴に刺さったままの鍵。
断言しよう。親父はアホだと思う。
ハルキパパが優雅に鍵を開けて貧相なアパートの中に入った。
居間の奥、ふすまを開けっ放しで丸見えの6畳間で……
押し入れに上半身突っ込んで震えている馬鹿がいる。
う……肉親であることが恥ずかしい。
確実に俺の遺伝子の50%はこいつ由来で構成されている、という事実を今すぐ末梢したかった。
その後の……一部始終。
親父と一緒にとんでもない豪邸に連れてかれて
「悠臣は総帥継ぐために勉強をしなければならないからな。しばらくは日本に帰って来れないと思って欲しい。
あと悠紀仁君は・・・・藤堂グループの総帥の孫が公立高校に通っているのは、セキュリティの面でも問題があるから・・・。」
みたいなことを言われ、
「悠紀仁君には転校してもらうことになる。・・・・いきなりごめんな。」
と(でも、物凄い申し訳なさそうに勝手ですまない、と謝られた。……Σ恐縮ですから!)言われ。
その時のことは、省略します。だってあれですょ??いくら馬鹿とは言え一応俺の父親なわけですから。30にもなった男が恥も外聞もなく
「やだぁ〜!!ゆきちゃんと離れるのやだぁぁぁぁあああ!!」
って泣き喚いてた様子を子細語る気はない。
転校先は男子校だとか言われたけど元々そうだし環境が良くなるだけいーやーとか思って
『あー別にいいですよー』とか言ってるうちに俺の荷物がまとめられて(ここで全寮制と言うことを知る。まぁいーやー。)編入試験受けさせられて(余裕vvv)新しい学校へと向かう車に乗って揺られるまで1週間もかからなかった。
なんかあっというまにゴタゴタ過ぎてぼーっとする暇も無かったなー。
……あ゛ー……
チームの奴らに
『俺族抜けるわー。詳細は後日ね。悪ぃ今ちょっと暇が無いんだわ。』
って言ったっきり連絡してねぇー……
……まぁ現代には携帯電話と言う素晴らしい連絡手段があるし。
伝書鳩飛ばす訳じゃねーし落ち着いてからでいーか。
・・・・しまった。ケータイが圏外だ。
田舎恐るべし。
・・・・まぁいいや。どーせ夏休みはもうすぐだし。
東京帰ってからで。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!