極楽蝶華
学園の諸事情
□■□■□■□■□■□■
ところでこちらはとある教室。
部活に入ってない、誰かとの予定も無い奴らが友達と一緒にただ何と無く集まって休日、各々の恋人と会う約束を取り付けながら
「この後坂本の部屋行ってゲームすっかぁー」
等と平凡な男子高校生の会話をしていた。
いや、年頃の少年なら誰でもするそっち系の話題についてのみ、通常なら有り得ない単語がぼろぼろ出て来ているが。
つまり、この学園に多めに生息する同性にも恋愛感情を抱ける奴らで。
「あー……ユウちゃんマジ可愛いー……」
「あれで男って反則だよな。」
「性別なんてどっちでも良いよあの身体と顔だったら。」
恋人に約束を取り付けたそのケータイで悠紀仁の画像を呼び出し性談義を始めてたり。
大体こんなもんだ。
ちなみにこの学園では、大半の人間が性対象の性別を気にしない。
むしろこの閉鎖された空間では同性に欲のはけ口を求めるな、と言う方が難しいだろう。
本格的に恋愛をしてる者から、ただ気持ち良ければイイ奴らまで千差万別だが……
とりあえずこの学園内じゃノーマルの人間を探すのが難しい、と考えればまず間違いない。
揚げ句、無駄に両家のお坊ちゃんやら金持ちのご子息様が通うもんだから、親の都合がリアルに反映される。
己の小さな我が子に、
「何年何組の誰々君はお父さんの会社の社長の息子さんなんだ。いいか、仲良くなっておきなさい。」
自分の出世を子供に託す親も親だが、子供にとってその言葉は絶対だ。
しかもそれを事あるごとに言われる。
が、しかしそれよりも頻繁に言われるのが、この台詞。
「琉崎さんご兄弟の気に障る事だけはするなよ。あの人達はな、特別なんだ。」
天下の琉崎財閥の経営するこの学園に入学が決まったときから、今までずっと……親から血走った目で言われているのだ。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!