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極楽蝶華
猫でいていい?

 


『……ちょっと見たかっただけだよ。』

「ホントに?」



くい、と顔を上げて見つめてくる。

泣きそうなくらいに眉が下がっていた。


『あぁ。……俺の猫はレオだけだから。だろ?』


表情が崩れて、目に涙が溜まった。


「……俺の事……捨てちゃヤダよ……?」

『捨てねぇよ。絶対。』

「…………〜〜ッ!!」



今にも泣きそうなレオの頭を抱え、肩口に埋めて背中を叩く。


『俺がお前の事捨てる訳ねぇだろ?』

「……ユウ〜ッ……!!」

『泣かねぇのな?
……大丈夫だよ。レオは一生俺の猫だから。』



まるで俺がいなくなっちまうとでも思っているかのように
身体に回された腕は俺を掻き抱いて、力を込めて離さない。


『ホラ……人集まって来たぜ?』


未だ泣いてるレオの背中をあやすように叩いた。


「いや……だ。
もちっとこうしてる……。」



ぶんぶんと何回か首を横に振り、また腕に力を込めてくる。


『何。心配になっちったの?』

「うん……」

『馬鹿だな。俺がお前以外の猫飼ったりする訳ねぇじゃん。』

「ねぇ……ユウ、ホントにやだよ……捨てたりしたら、やだ。」

『捨てねぇよ。』

「……いいの?」

『お前は俺の猫だろ?』



「そうじゃなくて……さっき半ば無理矢理流してユウにご褒美貰っちゃったけど、許してくれるの?
俺、まだ側にいていいの?」



途端……思い出してしまい、顔が熱くなった。



『……いいよ。』



まともに顔が見れない……



「俺の事嫌いになってない?」

『なんねぇよ……。』




ちゅ、ちゅ、と



不機嫌に伏せた瞼に唇が落ちる。




「ねぇ、ご褒美……俺貰っちゃったけど、嫌じゃなかった?」



……嫌?




「ユウ……?」



『……じゃねぇ。』


「ユウ?」


『……んとに、嫌なら……本気で抵抗してるわ。ボケ。』



言った途端また顔が熱くなって、レオの胸にぼすんと倒れ込んだ。



「……ねぇ、ユウ……じゃ、また【ご褒美】くれる?」

『……知るか。』


「俺、頑張るから。イイコにするからまた頂戴?」




『……うっせ。エロ猫ぉ……』




言わなきゃ良かった。


火照った顔をレオの首に押し当てて、小さく呻いた。

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