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極楽蝶華

 



また視線が少し泳ぐ。



胸の前で組んだ指を少しもじもじさせた。


『あ、あぁ……ハイ。
えと、……ありがとうゴザイマス。……嬉しい、です。』




あぁぁぁぁぁぁっ!!


俺今絶対顔赤いよ!!




へた、とうなだれて目の前の人の顔を伺ってみた。



「……か」


か?


「可愛いぃ〜〜ッ!!」

『ふに゙ゃあっ!!』




いきなりぎゅう、と抱きしめられて変な声が出る。



「可愛い。スゴイ可愛い。」

『なななななぉせんぱっ……くるじっ……!!』



ぐりぐりと力を込めて頭を首元に押し付けられ、息が出来ない。

手に持ってたチョコを思わず握り締めてしまい、乾いた音がしていくつかに分解したのが分かった。



『……ッ、ぶはぁっ!!』


おぉ。

酸素酸素。




「可愛い。悠紀仁、涙目になってるよ?」


『……わぃく、ないっ……デスから……ッ!!』



いくら苦しくてもそこは否定だよ。


全身全霊で否定するよ。




「バカ。
お前、それが駄目なんだよアホ。」

「意味無いからねぇー?
せっかく俺達が側にいんのにさぁ。」



何の意味。


俺に嫉妬するヤツを増やす、といった点では多大な貢献を見せてますが、それ以外に何か意味ありますか。



ふぅ、と息をついてまた奈緒先輩に倒れ込む。




この人達疲れる。

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あきゅろす。
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