極楽蝶華
新事実発覚
「何だ……それ被っちゃうのか?」
『え?』
脇からはみ出た髪の毛を中に押し込みながら横を見た。
「折角綺麗な色してるのに……何で隠すんだよ。」
他人にそんな事を言われたのはほんと久々なので、びっくりして相手をしっかりと見つめてしまった。
『……キレイ、ですか?』
「あぁ。……ほとんど色素が無いだろ?太陽の下だと、光が乱反射して無色に見えるんだ。銀色に光っててスゴい綺麗だよ。」
……ちょっと、思い出してしまった。不覚。
『……っく、ふ……』
「えっ……
どうしたんだよ?!俺……なんか言ったか?!」
『いや、違うんです。猛さんじゃなくて……』
いい年した男が人前で泣いてしまった;
『俺の……母さんが、よく同じ事言ってたんです。こんな……日本人じゃないみたいな、色じゃないですか。髪も、瞳も。
小さい頃、いじめられて泣かされて帰ってくるたび、そう言って……今は、もう……いないんですけど』
「あ……ごめんな。思い出させて……」
『いえ!違うんですよ!……ただ、母さんと同じ事言ってくれて……
……俺、スゴい……なんつーか、嬉しかったんですよ。……恥ずかしいんですけどね。』
俺今もじもじしてる……絶対キモいよ……(泣)
『今はどちらかと言えば逆にいじめっ子ですよ。眼鏡とカツラは、俺の予防線なんです。……喧嘩売られないように。』
「喧嘩は苦手なんだ?」
『いや……むしろ得意ですね。でも、切れると手加減出来ないから……
あんまりやると、退学、とかなっちゃいそうじゃないですか。あんまり家に迷惑かけたくないんですよ。』
せっかくここに入れてくれたのに。入学金とか高そうだし。
「ハハッ……そうなったら、俺から優斗さんに頼んでもみ消してあげるよ。」
『え……仲良いんですか?理事長と。』
「いやぁ……悠紀仁って、天然?理事長とは親戚。
俺生徒会長の琉崎俊の弟だよ?」
……
…………
……え?
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